プレスリリース 2020年

土木工事現場への適用性を高めた
四足歩行ロボット「Spot(スポット)」を導入

2020年2月20日
鹿島建設株式会社
ソフトバンクロボティクス株式会社
ソフトバンク株式会社

鹿島建設株式会社(代表取締役社長:押味 至一)は、ソフトバンクロボティクス株式会社(代表取締役社長 兼 CEO:冨澤 文秀)ならびにソフトバンク株式会社(代表取締役 社長執行役員 兼 CEO:宮内 謙)の協力のもと、最先端のロボット技術を保有するBoston Dynamics社の四足歩行型ロボット「Spot(スポット)」を用いた実証実験を、2018年11月に神奈川県のトンネル現場で行いました。その後、当該結果をもとにユースケースを検討し、トンネル内の路盤などでも不自由なく歩行できるよう改良された「Spot」を、世界に先駆けて土木工事現場で活用することを目指して、2019年12月に導入しました。

[注]
  1. Boston Dynamics社…Handle、Pick、Atlasなど、世界で最も先進的なロボットを開発しています。詳細は、ホームページをご覧ください。
「Spot」による実証実験実施状況/土木現場用でも適用可能な「Spot」
「Spot」による実証実験実施状況/土木現場用でも適用可能な「Spot」

開発の背景

建設業界では、生産年齢人口の減少や技能労働者の高齢化に伴う将来的な就業者不足に対応するため、新規入職者の確保や生産性の向上が喫緊の課題となっています。加えて、土木工事においては、土木特有の自然環境への対応や地下空間などでの作業に対する安全対策も急務です。

このような背景のもと、当社ではICT技術の導入や自動化への取組みを加速させており、現場巡視や工事の進捗管理、安全管理などの業務に対する最先端のロボット技術の導入、適用を検討することとしました。

実証実験とカスタマイズ

2018年11月、横浜環状南線 釜利谷ジャンクション Cランプトンネル工事において、土木工事現場での「Spot」適用の可能性を検証しました。

トンネル内巡視状況/「Spot」搭載カメラによる切羽写真(30m離隔)
トンネル内巡視状況/「Spot」搭載カメラによる切羽写真(30m離隔)

実証実験では、360度カメラを搭載した「Spot」を制御室から遠隔操作し、切羽(掘削箇所)の写真撮影やポンプメーター等の計器点検を行いました。さらに、予め設定したルートに沿って自律歩行できる特性を活かした坑内巡視も行い、現場での適用性を確認するとともに課題を抽出しました。その後、ソフトバンクロボティクス株式会社およびBoston Dynamics社にて、悪路歩行性能の確認やインターフェースプログラムの改良を行い、土木現場への適用可能性を高めました。

今後の展開

今後、トンネル工事において、坑内測量業務や安全管理のための巡視などを実証実験する予定です。また、四足歩行が可能な特性を活かして、急傾斜地すべり地帯での調査・測量などの危険作業を含め、適用先の拡大を検討していきます。

鹿島建設は、「Spot」を初めとするロボット技術の導入をこれからも積極的に推進することで、建設業界における生産性や安全性のさらなる向上を図るとともに、業務の効率化を目指します。

工事概要

工事名 横浜環状南線 釜利谷ジャンクション Cランプトンネル工事
発注者 東日本高速道路株式会社関東支社
工事場所 (自)神奈川県横浜市金沢区釜利谷 (至)神奈川県横浜市栄区庄戸
工期 2016年3月~2019年12月
施工者 鹿島建設株式会社
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