知的財産・ブランドの保護
基本的な考え方
当社は役員・従業員、グループ会社の一人一人が順守すべき「ソフトバンク行動規範」の中で、「知的財産権の重要性を認識し、他者の知的財産権を尊重するとともに、自社の知的財産権の適正な保護および活用の推進」を宣言しています。他者の知的財産を尊重しつつ、知的財産の積極的な創造・保護・活用に努めることで、企業価値を向上し、ひいては社会全体の産業発展に寄与することを基本方針とした「知的財産戦略」を掲げ推進しています。
知的財産戦略は、事業戦略、技術戦略(研究開発)および営業戦略などの礎となるものであり、継続的に活性化することで当社サービスの競争力を高め、顧客の維持拡大に貢献するとともに、競合他社に対する優位性の確保につながると考えています。また、AIやIoTなどの最先端テクノロジーを最大限に活用したデジタルシフトを自ら実践し、社会やあらゆる産業におけるDX推進の旗振り役となることで、社会課題の解決に取り組んでいます。
体制
基幹事業である通信事業に加え、最先端テクノロジーやビジネスモデルを活用した新規事業拡大を積極的に推進するためには、知的財産権を含むコンプライアンス順守のための一貫した高い倫理観や責任感の浸透がより一層求められます。
知的財産権を管理する知的財産部門では、事業戦略、技術戦略(研究開発)および営業戦略などを担う各部門と連携を強化することで知的財産戦略を推進しています。また、コーポレート・ガバナンスの高度化と実効性担保の観点から、知的財産に関するリスクコントロール機能に加え、業務執行を戦略的かつ効率的に支援するための社内連携体制を、多角的な視点から構築しています。
知的財産部門は、常に高い倫理観と責任感で知的財産を含むコンプライアンスを推進することで、企業価値向上に貢献していきます。
自社ブランドイメージ維持・
向上のための体制
当社は、コア事業である通信分野に加え、モビリティ・ヘルスケア・ビッグデータ・AIなどさまざまな領域での新規ビジネスに関するブランドを保護すべく約700件の商標権を取得・管理しています。当社ブランドイメージの維持・向上を図るため、知的財産部門とブランド部門が連携し、適正なブランド管理を実施するとともに、当社ブランドに信頼を寄せるお客さまへ不利益をもたらすことがないよう努めています。
また、ブランド部門は規程やマニュアルを整備するほか、定期的にブランドの使用実態を調査するとともに、ブランド使用に関する社内窓口を設けて、ビジネスをサポートしています。
主な活動 |
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ソフトバンクグループ株式会社およびソフトバンク株式会社、グループ各社の商標または登録商標については以下よりご確認ください。
主な取り組み
当社グループの
知財ガバナンス強化
および知財人材の育成
国内外の最先端テクノロジーを用いた新しいビジネスモデルの早期実装を目指し、事業会社設立前の知財デューデリジェンスから設立後の知財関連規程整備、知財人材育成、権利化促進等、知的財産に関する機会拡大を推進しています。併せて知財ガバナンス基準を策定し、企業フェーズに合わせ、対象子会社および対象関連会社に対して定期的にアセスメントを実施するなどグループ一体となったガバナンス体制構築を推進しております。また、グループ企業各社の独立性を担保しつつ知的財産業務のノウハウを共有することにより、グループ全体としての知的財産戦略の深度化・拡充化を目指して、「知的財産実務ワークショップ」をソフトバンクグループ株式会社と共に主催しています。
加えて、主に大学生・大学院生向けに知的財産に関する啓発を推進するため、東京大学先端ビジネスロー国際卓越大学院プログラムにおいて、2019年より「ソフトバンク法務の実務的課題と対応」と題して当社の知的財産戦略に関する講演を行っています。
一般・先端ビジネスロープログラム講演会(先端ビジネスロー国際卓越大学院プログラム)
- [注]
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- ※1経済産業省「Connected Industories」で掲げる取り組み。詳細はこちらをご覧ください。
- ※2Due Diligence
- ※1
マルチブランド戦略の
支障となりうる
ブランド不正使用の排除
当社のブランドを不正使用した他社サービスや模倣品を放置しておくことは、ブランドイメージの悪化や不正な資金の流れを招くだけでなく、ブランドに信頼を寄せるお客さまの健康や安全被害につながるおそれもあります。
第三者によるブランド不正使用の検知、侵害排除および侵害未然防止に速やかに対応するため、当社がマルチブランド戦略として展開する“ソフトバンク”、“ワイモバイル”そして“LINEMO”ブランドのライセンサーであるグループ企業各社の知的財産部門との連携を強化し、グループ一体となったブランド価値向上施策を推進しています。さらに、水際対策(日本税関への輸入差止申立や識別研修対応)に加えて企業団体や官公庁との情報交換を通じて問題解決に向けた社外への情報発信も継続しています。
対応方針
近年、国際的な流通・ECサイトでの取引を通じて模倣品やSNS等での詐欺広告などが拡大しており、その手口も巧妙・悪質化してきています。加えて当社ブランドに便乗した紛らわしい他者商標出願も諸外国にて散見されます。このような模倣品や不適切広告における商標権侵害などに対して監視を強化し、法的根拠に基づく使用差止や輸入差止登録、不正商標出願に対する異議申立や無効審判等の対応を行っています。
適正なブランド管理を推進しブランドイメージの維持・向上を図り、お客さまからの信頼を守るため、模倣品などへの対応は断固たる姿勢で臨んでいます。
模倣品対応実績の一例
白戸家のお父さん | 模倣品 への 取り組み |
ノベルティ商品(バスマット)の模倣品に対して、ECサイトの販売差止申立を行い、税関での輸入差止申立を実施しました。
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不正商標登録への対応 | 中国における25類(レインコート、演劇用衣装)を指定商品とする商標出願に対して、登録異議申立を実施しました。
第三者の商標出願に使用されたお父さん画像 |
第三者の商標出願に使用されたお父さん画像 |
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HeartBuds | 模倣品 への 取り組み |
商標権・意匠権・著作権を活用し模倣品の販売差止申立を行っています。日本税関への輸入差止申立に加え、韓国税関への輸入差止申立や中国税関への輸出差止申立を実施し、模倣品流通の拡大防止に努めています。
真正品 模倣品 |
真正品 模倣品 |
Pocket WiFi等 | 模倣品 への 取り組み |
「Pocket WiFi」(登録5850557号)商標や「Ultra WiFi」(登録5483306号)商標を付したモバイルルーターに対して、ECサイト上で販売差止申立を行い、税関での輸入差止申立を実施しました。 また、商標の普通名称化防止に向けて、商標注記や社外向けの周知啓発活動を継続しています。 当社の登録商標が付された第三者の製品 |
当社の登録商標が付された第三者の製品 |
データ連携基盤の構築推進
不正競争防止法や著作権法の観点から社内におけるデータ管理責任部門やデータ利活用部門との連携を強化し、社内外データ適正管理に関する方針を定めデータの戦略的利活用の基盤固めを推進しています。
加えて、警察当局とも連携しながらフィッシングサイトなどへの監視や停止措置を継続的に実施することで安心してデータを活用できる社会づくりに貢献します。
持続可能な社会づくりへの貢献、
課題解決に向けた社会実装
オフィスのスマート化
働き方改革や新型コロナウイルス感染症対策に伴うテレワークの普及に対応し、オフィスの快適性の向上や多様な働き方を支援するためのソリューションとして、「Smart Work Solution」を提案しています。Smart Work Solutionで展開されるビジネスモデルを実現する要素技術に着目し、自社の競争力や差別化を実現するため特許ポートフォリオの構築を進めています。
また、知的財産の創造および利活用においてオープンイノベーションを含む多様な手法を取り入れています。
Beyond AI 研究推進機構
国立大学法人東京大学などと世界最高レベルのAI(人工知能)研究機関として「Beyond AI 研究推進機構」を設立し、共同研究を開始しました。
本研究推進機構は、最先端のAI研究を行う中長期研究と、研究成果を基に事業化を目指すハイサイクル研究の二つの方向性で研究を行い、事業化益をさらなる研究活動や次世代AI人材育成に充てるエコシステムの構築を目指すことを特長としています。
ソフトバンク次世代電池Lab.
質量エネルギー密度が高く軽量で安全な次世代電池の早期実用化に向けて、「ソフトバンク次世代電池Lab.」を設立し、世界中のさまざまな次世代電池の評価・検証を行っています。
これにより得られたノウハウを公的研究機関、大学、電池メーカーを含む多くのパートナーと共有することで、次世代電池開発のベースアップに貢献するとともに、創出された知的財産については、オープン領域とクローズ領域の両面を踏まえ、当社とパートナーとの双方がメリットを享受できるような知財マネジメントを行っています。
成層圏通信プラットフォーム
「HAPS」
当社は米Alphabet Inc.の子会社であるLoon LLCが保有する成層圏通信プラットフォーム「HAPS」(High Altitude Platform Station)に関する特許約200件(特許出願中を含む)を取得しました。これにより、当社が保有する独自の特許と合わせて、HAPS業界最大級となる約600件(特許出願中を含む、2023年3月現在)の特許群を構築しています。