プレスリリース 2021年

デジタルツインを活用した
『次世代AI都市シミュレーター』の研究開発を開始

~小田急線海老名駅周辺を対象に、人流データなどを分析し、
人々の行動変容を促して地域の最適化・活性化に貢献~

2021年4月28日
国立大学法人東京大学
ソフトバンク株式会社
小田急電鉄株式会社
株式会社グリッド

国立大学法人東京大学(総長:藤井 輝夫、以下「東京大学」)、ソフトバンク株式会社(代表取締役 社長執行役員 兼 CEO:宮川 潤一、以下「ソフトバンク」)、小田急電鉄株式会社(社長:星野 晃司、以下「小田急電鉄」)および株式会社グリッド(代表取締役社長:曽我部 完、以下「グリッド」)の4者は、東京大学とソフトバンクが行うBeyond AI 研究推進機構※1の研究テーマの一つとして、小田急線海老名駅と周辺施設を対象に、来訪者の行動変容を促す人流誘導アルゴリズムを実装する『次世代AI都市シミュレーター』の研究開発において連携し、研究を開始します。

1. 背景

オンラインでの消費活動の普及や、新型コロナウイルス感染症拡大に伴って生活様式が大きく変化する中、新たな都市づくりに向けて、スマートシティに関する取り組みが加速しています。スマートシティの実現に当たっては、データの可視化や分析だけでなく、データによる予測を基に、人々に役立つ情報と価値を提供して人々の行動変容を促し、地域全体の最適化と活性化に貢献することが重要です。

Beyond AI 研究推進機構は、「基礎研究(中長期研究)」と、社会課題へのAI(人工知能)の活用を目的とする「応用研究(ハイサイクル研究)」の二つの領域で研究に取り組んでいます。今回、応用研究の一つとして、スマートシティに関する研究を行うことを決定しました。小田急電鉄およびグリッドと協力し、小田急線海老名駅および周辺施設の各種データと人流誘導アルゴリズムを組み合わせ、快適で便利な都市づくりと地域活性化への貢献を目指します。1日の乗降客数が10万人※2を超える小田急線海老名駅とその周辺地域を研究の対象とすることで、都市におけるAI活用の有用性を、効果的に検証します。

2. 研究の概要

仮想空間に現実世界を再現するデジタルツインを活用して、デジタル空間上に小田急線海老名駅と周辺エリアを再現し、人流・交通・購買・来訪者の属性などのデータ※3を使って、人々の流れや行動を可視化・予測するシミュレーションを行います。これに基づき、実際に、来訪者のスマートフォンアプリへの各種情報の通知やクーポンの発行、施設内のデジタルサイネージでの情報表示などを実施することで、人々の行動変容を促し、混雑緩和と購買促進の両立、交通の最適化、災害時の避難誘導などに関わる技術を開発し、社会実装を目指します。

なお、開発環境の構築は、デジタルツインや、それを活用した都市の最適化技術を有するグリッドが行います。またデータの処理基盤は、Vantiq, Inc.が提供する、イベント・ドリブン型アプリケーション開発プラットフォーム「Vantiq」を使用します。

3. 役割分担

4者がスマートシティに関する知見を生かし、産学連携で研究開発を進めます。(研究期間:2021年4月〜2022年9月)

  • 東京大学:人流誘導アルゴリズムの開発。東京大学Beyond AI研究推進機構 田中 謙司准教授および東京大学大学院工学系研究科 坂田 一郎教授による先進的な人流誘導の研究の知見を提供。
  • ソフトバンク:『次世代AI都市シミュレーター』全体の設計・開発。スマートシティ開発の実績など、最先端テクノロジーや事業化に関する知見・ノウハウを提供。
  • 小田急電鉄:MaaSの先駆的取り組みや、職、住、商、学、遊の生活シーンなどに貢献する沿線まちづくりを推進する中で得た豊富な知見を提供。
  • グリッド:社会インフラを中心としたデジタルツインの実現、最適化の実績による知見を生かし、研究開発環境を構築。

4. 今後の展望

地域におけるより多様なデータを活用し、人流誘導に加えて、エネルギーや物流の効率化など、環境負荷軽減に貢献する都市づくりの検討を進めます。また、今回の研究結果を基に、実用性・汎用性が高いソリューションの開発を進めます。この研究を通して、人と人を結び、地域への来訪者、住民、企業・自治体などの地域に関わる全ての人にとって価値のあるスマートシティの実現を目指します。

『次世代AI都市シミュレーター』イメージ

『次世代AI都市シミュレーター』イメージ

研究対象予定エリア(小田急線海老名駅および周辺施設)

研究対象予定エリア(小田急線海老名駅および周辺施設)
[注]
  1. ※1
    東京大学、ソフトバンク、ソフトバンクグループ株式会社およびヤフー株式会社が設立した世界最高レベルのAI研究機関。
    https://beyondai.jp/
  2. ※2
    2020年度の1日平均乗降客数。
  3. ※3
    本研究では、統計データのみを扱う予定です。また、第三者に開示または漏えいしないものとし、今回の研究目的の範囲内でのみ利用します。なお、一連のデータは、関連法令などを順守した上で適切に取り扱います。
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