2022年3月期 第3四半期
決算説明会 主な質疑応答

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日時 2022年2月3日(木)午後4時~午後5時15分
登壇者 ソフトバンク株式会社 代表取締役 社長執行役員 兼 CEO 宮川 潤一
ソフトバンク株式会社 取締役 専務執行役員 兼 CFO 藤原 和彦
  • 5Gについて、具体的にどの分野でどの程度の収益貢献を見込んでいるか。

    現在、スマートフォンのサービスに関しては4G時代と大きな差はない状況だが、今後はAR・VRなどIoTデバイスの拡大に期待をしながら、その後のメタバースなどに繋がっていけばと思っている。ただ現状5Gにキラーアプリはなく、今は急いでネットワーク作りを進めている段階。当社は今年度に5Gネットワークのスタンドアローン(SA)化を開始したが、SA化により5Gらしさを活用したサービスを作りやすくなるため、今後2~3年かけて5Gのサービスが成熟していくだろう。

  • 5G時代の通信キャリアの競争環境をどう見通しているか。

    通信キャリアによって、スピードや安定性に多少の差はあるかもしれないが、スマートフォンの通信に限って言えば、5Gと4G時代で競争環境に大きな変化はないだろう。それ以外の5G通信については、通信キャリアごとにさまざまな戦略があり、2~3年も経てば各社のカラーが表れたサービスが見えてくるだろうと思う。

  • 2~3年後には各キャリアのカラーが表れた5Gサービスが出てくるということだが、中長期戦略における御社のカラーとは何か。

    5Gのスタンドアローン(SA)化によりコア設備が5G通信専用になることで、技術面でさまざまなことが可能になる。5G時代のセキュリティのあり方や、お客さまやサービスごとのトンネリングの技術など、我々が実現したいサービスは何なのか、今まさに議論しているところだ。

  • “ワイモバイル”ブランドが好調な理由は。

    “ワイモバイル”は最も安価なプランでは月額900円(税抜)から利用でき、低料金でサービスを展開している。競合他社の商品と比べても見劣りせず、MNPで他社から移ってくる先に選ばれやすい。当社の低料金サービスは、“ワイモバイル”と“LINEMO”の2本柱だが、オンライン専用ブランドの“LINEMO”に対し、“ワイモバイル”は“ソフトバンク”ブランドとの併設店舗を多数有しており、お客さまが来店して相談しながら加入するという環境が整っていることも一因。

  • “ワイモバイル”以外ブランドの動向はどうか。

    “LINEMO”の純増は少しずつ伸びている。“ソフトバンク”ブランドは、これまで安価な他社ブランドへのユーザー流出が続いていたが、ようやくこれが止まった。“ソフトバンク”から“ワイモバイル”に移られるお客さまは引き続き多いが、これを当社ブランドの中での移動であると考えれば、“ソフトバンク”ブランドもマイナスの状態ではなくなっている。“ソフトバンク”が下げ止まったことと“ワイモバイル”が好調ということで、今回のモバイル契約数の純増回復に繋がった。

  • “LINEMO”の契約数は足元でどこまで伸びているのか、また今後の方針は。

    “LINEMO”の契約数は減ってはいないが、爆発的には増えていない。現在、“ワイモバイル”と“LINEMO”の差別化があまり出来ていないと思う。両ブランドの差別化をやっていこうと常々考えているので、時期が来たら形を示したい。

  • コンシューマ事業の増収要因の一つとして携帯端末の販売増を挙げていたが、具体的にどの機種が売れたのか。

    端末販売が増収となった理由は、主に昨年度にある。2020年は新型コロナウイルス感染症の影響で店舗の営業時間を短縮していたため、端末の販売が落ち込んだ。今年度はそれが回復したため、ここが前年比で増収要因となった。今年度において、特定の機種の販売数が著しく伸びたということはない。

  • 新型コロナウイルス感染症の再拡大を受けて、5Gの展開率の目標などに影響はあるか。

    1月末時点の当社の5G人口カバー率は85%超、基地局数は2万3,000局を超えた。今春に5G人口カバー率90%まで立ち上げることを目標に、急加速で整備を進めている。特に今は5Gネットワークの面展開に注力しており、4Gと5Gを行き来する際に起こる繋がりにくさの問題を、これにより早期に解消していきたいと考えている。今年、来年と手を抜かずにネットワークを作り上げていきたい。

  • 2022年度の設備投資の規模感と重点テーマを教えてほしい。

    来年度の設備投資計画は、今年度と同程度を見込んでいる。来期の予算を組み上げてから正式に決めるものだが、いま着手している工事はそのイメージで発注している。まずは5Gネットワークの面を作り上げ、その後は5Gトラフィックの増加に合わせて、基地局を増設する場合があり得る。ただ、ARPU(ユーザー1人当たりの平均収入)が低下する中で、これまでと同様の設備投資計画や運用コストを維持し続けると、収益は崩れてしまう。10年後の通信のために、いかに収益性を担保しながら投資を行っていくか、中長期戦略の中ではこの点を一番深く議論している。場合によっては5Gの投資が4G時代の投資より少なくなることもあり得るかもしれない。

  • 半導体不足や原材料高などを設備投資計画にどう反映しているか。

    半導体不足により、基地局工事に若干の影響が出ているが、この状況を事前に想定し、前倒しで発注を行っていたため、現状で大きなブレーキにはなっていない。

  • 総務省の電気通信事業ガバナンス検討会による2022年1月14日付の報告書では、利用者情報を保管するサーバー設置場所の国名の公表義務付けが見送られたが、現段階の見解を教えてほしい。ソフトバンク(株)としては今後何を主張していきたいか。

    個人情報の取り扱いについては、危機感を持って本気で取り組んでいる。チーフオフィサーを任命し、Zホールディングス(株)とともに細かくルールづくりを進めている。国が進めている個人情報管理の方向性についても賛同している。要求されたことは基本的に全て対応していこうという姿勢で臨んでいる。

  • 「BALMUDA Phone」をなぜ独占的に取り扱ったのか。

    バルミューダ(株)については以前から、ユニークなメーカーだと好意的に見ていた。日本のメーカーがスマートフォンでチャレンジしたいという事であれば、当社としては支援できるところは支援したいと思っている。さまざまな意見があるかもしれないが、何事もチャレンジしなければ次に繋がらない。私としては、今回「BALMUDA Phone」を取り扱って良かったと思っている。

  • PayPay(株)について、中小企業向けの手数料有料化により収益性が改善したということだが、黒字化の時期はいつ頃か。

    「PayPay」は昨年10月以降、手数料収入の増加により収益性が大いに高まった。12月単月では、相当いい数字が出ている。黒字化の時期は、獲得コストをいつ絞るのかによって変わってくる。「PayPay」は今まさに伸び盛り。4,500万のユーザー数で留まるようなサービスではないと思っている。まだ伸ばせるなと感じるうちは、他の投資を抑えてでも、「PayPay」に資金を投入して成長を目指したい。ただ、それを2年も3年も続けるかというと、もちろんビジネスなのでいずれは投資を回収しに行く。投資効率が悪くなってまで、数にこだわるつもりはない。

  • PayPay(株)を含めたグループの金融事業全体が、今後どのように立ち上がるのか、目途を教えてほしい。

    「PayPay」はスーパーアプリとして、あらゆる事業のコアにするべく、他の金融事業との横連携を模索している。「PayPay銀行」や「PayPayカード」、そのほかにも保険など、ありとあらゆる金融ビジネスが我々の計画の中に入っている。これらの中にはソフトバンク(株)傘下の会社もあれば、Zホールディングス(株)傘下の会社もある。グループの経営戦略とともに、金融事業全体としてのあるべき姿を、今まさに本気で議論している。「PayPay」を中心とした相乗効果で、ここを大きく育てていきたい。

  • PayPay(株)について、すでに登録ユーザー数が4,500万に達し、また一部には根強い現金文化も残る中で、今後どこまで伸ばせると考えているのか。

    事業拡大において我々が重視しているのが、コスト効率。いくらキャンペーン費用を投下して、それがどれくらいのユーザー数の増加に繋がったのか、常に効果測定をしている。今のところ、4,500万ユーザーに到達するまでの「PayPay」のコスト効率は十分に満足できるものであり、決済取扱高(GMV)はむしろ想定以上に伸びている。このまま、やれるところまでやってみたい。もちろんいずれは、効率が悪くなるタイミングが来ると思うので、そこからは次の展開に移ることになる。また現金文化について、諸外国と比べると、日本のQRコード決済はまだ大いに伸ばせる余地がある。日本の決済市場の中で、我々がいかに魅力を出してユーザーを増やせるか、QRコード決済がどこまで拡大できるかを、今後しっかりと見極めていきたい。

  • ソフトバンク(株)がPayPay(株)を子会社化する時期はいつごろか。

    当社はPayPay(株)の優先株を保有しており、これを転換できる権利が2022年度から発生するが、具体的な転換時期は現時点では決まっていない。

  • PayPay(株)の上場は黒字化の後に行うのか。子会社化のタイミングとの関係は。

    現時点で決定した事実はないが、PayPay(株)の上場は狙っている。ただ、そのタイミングは黒字化や子会社化とのバランスをみて慎重に考えている。黒字化がどのタイミングであるべきか、最適な事業構造は何なのか、今まさに議論しているところだ。

  • 従業員の賃上げの考え方について教えてほしい。

    賃上げは前向きにやっていきたい。ただそのやり方については、さまざまな工夫ができると思っている。当社は人材戦略として、収益が低下しつつある通信部門の社員を、成長分野である通信以外の部門へ積極的に異動させている。この成功例がPayPay(株)であり、現在は第2、第3のPayPay(株)と呼べるような規模感の新規事業の立ち上げを目指している。私はインセンティブの考え方が企業成長の原動力になると思っており、賃金を一律2%底上げするというよりも、このような新しい事業の成長に貢献した社員に、他の上場会社では味わえないような成功報酬を用意したいと考えている。また、ある程度の社員層までは、報酬として自社の株式を渡して株主になってもらうことにもトライしたい。株を含めてトータルでみると、賃上げになっているという考え方だ。

  • 来期の成長に向けて、法人事業をどのように強化していくか。

    当社の強みは足腰の強い営業部隊。これまでは国内の大企業を中心に営業活動を行ってきたが、これからはもう少し守備範囲を広げたい。具体的には、中堅・中小企業(SMB)市場向けに直販部隊を作ろうと準備をしている。すでに当社グループでは、アスクル(株)やPayPay(株)がこの中堅・中小企業市場でビジネスを展開しているが、そこに当社が入ることでグループシナジーを高めていきたい。また、グローバル営業の強化にも取り組んでいる。

  • コンシューマ事業の利益はいつ下げ止まるのか、5Gによって利益が反転するのはいつか、中長期的な視点で教えてほしい。

    今年度、来年度と通信料値下げの影響が続くが、コンシューマ事業単体で必ず復活させてみせると思っている。個人的には来年度を利益の底にしたいと考えており、そのための戦略を検討している。

  • グループサービスの連携加速について、これまでは「ソフトバンク」「ヤフー」「LINE」「PayPay」といった有力ブランドを多く有しながら、それぞれがバラバラに動いている印象だった。やっとポイントが統一され、来年度からはID連携が整ってくるが、今後のスピード感をどう考えているか。

    LINE(株)とヤフー(株)の経営統合から1年近く経った。ID連携については、本来はもっと早く実施されるべきと期待していたが、LINE(株)の個人情報管理の問題など、さまざまな課題を一つずつ整理して、今ようやく状況が整った。これからが本当の意味でZホールディングス(株)が成長するタイミング。ソフトバンク(株)としても、今後は子会社との連携をさらに強化し、アセットを活用した新しいビジネスモデルを作っていきたい。ようやくこれらの連携について語れる時期が来て、大変嬉しく思っている。

  • 今後のPayPay(株)の経営に、御社はどのように関わっていくのか。

    PayPay(株)もZホールディングス(株)と同様に、別々の会社としてのガバナンスがあった上でのグループ連携ということになる。もともと当社とヤフー(株)は同じソフトバンクグループ(株)傘下の兄弟会社であり、当時は現在のように細かな連携はしていなかった。その後当社がヤフー(株)を子会社化したことで、より強固な連携が可能となり、今に至っている。PayPay(株)とも同じように、親子という形で強固な関係を築いていきたい。当社はPayPay(株)の立ち上げから深く関わっており、現時点でも細かな情報交換ができている。今後もこの良い関係を継続して、グループシナジーをさらに高めていきたい。