2022年3月期 第2四半期
決算説明会 主な質疑応答

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日時 2021年11月4日(木)午後4時~午後5時20分
登壇者 ソフトバンク株式会社 代表取締役 社長執行役員 兼 CEO 宮川 潤一
ソフトバンク株式会社 取締役 専務執行役員 兼 CFO 藤原 和彦
  • 通信料金の値下げは、今後の基地局運営にどう影響するか。

    最近は基地局の整備などに影響が出るかもしれないと思っている。われわれが基地局の運営計画を立てる際、当然ながら通信料金についても試算を行い収益と費用のバランスを考えている。特にこの1、2年は5Gの立ち上げのため、費用面では一番厳しい時期にあたる。現在はネットワークの設計に遅れを出さぬよう構造改革やコスト削減を徹底的に行っており、これはやり切ろうと思っている。設備投資額にも大きな変更はない。一方で、通信料値下げの影響が5年、10年と続くと、通信インフラのあり方について見直す必要があると思う。

  • 競合他社の動向を踏まえて、今後の料金プランをどう考えているか。

    他社では基本料0円から始まるような料金プランもあるが、当社はネットワークの運用コストが賄えなくなるような料金は考えていない。当社では通信ネットワークを維持するために、24時間365日体制でネットワークの監視を行っている。また、機械は必ず壊れるものだが、設備に故障が発生した際、システムでの復旧が難しい場合はスタッフが実際に現地へ赴いて修理を行うこともある。加入者の方には基本的なネットワーク維持コストを負担していただき、それに加えて、使用量に合わせた料金の違いがある形がベストだと思っている。ネットワークの使い方が少しずつ変わってきたことも含めて、今後の料金プランを考えていきたい。

  • 法人事業は堅調とのことだが、今後どのように競合他社と差別化を図っていくか。人材の育成・確保についての考えを聞かせてほしい。

    法人事業は現在、引き合いが非常に強い。その中でも当社はできるだけ継続的な収益モデルを追求しており、短期的に収益が上がるだけの案件は少し後回しにするくらいのバランスで取り組んでいる。今後についても順調に伸ばすことができると自信を持っている。一方で人手はもっと必要な状況。当社だけでなく関係会社でも人材育成プログラムを導入するように手配を進めている。

  • 先日(株)NTTドコモで通信障害が発生したが、今後通信障害に対してどのような取り組みをしていくべきか、考えを聞かせてほしい。過去に宮川社長は、通信障害時に他社にローミングできるような仕組みを検討すべきではないかと発言されたこともあったと思う。

    (株)NTTドコモの障害は、どの通信キャリアでも起こりうるものだと思う。通信障害時の他社ローミングについて、まず今回のようにIoTデバイス側を中心とした障害の場合、IoTデバイスをローミングに対応させようとするとIoTデバイスのコストが上がってしまうため、現実的には難しいだろう。ネットワークのコア側で発生する障害に備えて、全く同じ設備をバックアップとして用意しておくことも現状では難しい。この課題については通信キャリア同士で情報交換をしながら、業界全体で意識を高めていく必要がある。

  • 現在、日本の通信料金は世界的にみても安くなっている。それによって日本が今後、海外の一部の国のように、通信料金は安いけれどその分通信品質を我慢しなくてはならないという状況になる可能性はあるか。

    総務省の発表によると、日本の通信料金は主要国の中で2番目に安いところまで来た。データ量や通信品質の高さを考え合わせれば、個人的にはすでに世界一安い通信サービスではないかと思っている。一方で4G以前と比べた時、5Gの通信インフラは基地局の必要数も使用電力量も大幅に増加している。それを4Gの時よりも安い通信料金で提供するとなると、通信品質を維持できるか心配な部分もある。もし今後、日本がさらに通信料金を下げる方向を目指した場合、通信技術の開発で日本が遅れてしまうのではないかという懸念を持っている。

  • 5Gネットワークのスタンドアローン(SA)方式について、今後の展開を教えてほしい。なぜSA方式の5G商用サービスを「SoftBank Air」から始めたのか。

    チップセットの関係で「SoftBank Air」の対応機種を最初に作ることができた。スマートフォンのSA化については、対応チップが順調に出揃えば、来年の春までには行いたいと思っている。SA方式のコアネットワークの仕組みは出来上がったので、これからさまざまなデバイスに横展開していきたい。

  • (株)NTTドコモとNTTコミュニケーションズ(株)が統合することについて、ソフトバンクにどのような影響があるか。ソフトバンクの持つ競争上の強みはなにか。

    2社の統合については、正直脅威を感じている。もともと大きすぎるということで分割された2社が、時代が変わったということで統合することになった。個人的には、競争政策の中で何らかの議論があってもよいと思っている。一方で、日本のデジタル化という観点でみれば、当社やNTT(日本電信電話株式会社)が切磋琢磨することで、新しいビジネスモデルが生まれる環境は望ましいし、あるべき姿だと思う。ソフトバンクの強みは、他社に先駆けてDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んできたことで一定の知見を有していること。加えて、親会社・ソフトバンクグループ(株)の投資先である最先端のDX企業と協力しながらやっていけることだと思う。われわれも負けないように頑張っていきたい。

  • 前回の決算説明会では“LINEMO”の契約数は50万件にも満たないということだったが、現状どこまで伸びているのか。また競合他社の新しい動きがある中で、今後どのように“LINEMO”ブランドを育てていくのかを教えてほしい。

    “LINEMO”と“LINEモバイル”を合わせたLINEブランドは累計100万件を超えている。“LINEMO”は7月に月額900円(税抜)のプランを出してから順調に契約数を伸ばしている。現時点では“ワイモバイル”の方がお客さまに好評なため、“ワイモバイル”を主力として強化していきたいと考えている。

  • 逆に“ワイモバイル”や“LINEMO”から“ソフトバンク”へ移る動きはあるか。

    5Gのユーザーは消費する通信トラフィックが多くなる傾向にあるため、大容量の定額プランを提供する“ソフトバンク”ブランドにそのようなユーザーが移っていく流れはある。ただ現在は“ソフトバンク”から“ワイモバイル”や“LINEMO”に移動する数の方が多い。

  • コンシューマ事業の売上高増加の要因は携帯端末の販売回復とのことだが、これは新型コロナウイルス感染症の急拡大によって昨年携帯端末の販売が減少したことの反動という理解でよいか。

    はい、ご理解のとおり。

  • 法人事業が好調とのことだが、具体的にはどのようなサービスが売上の増加につながっているのか。

    好調の要因は大きく分けて二つある。一つは、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)などを用いて企業の業務の自動化を支援するビジネス。もう一つは、新たに当社グループに入ったLINE(株)との協業ビジネスだ。企業が顧客や消費者と直接やり取りをするにあたり、インターフェイスとしてメッセージアプリ「LINE」を使いたいという問い合わせを多くいただいている。企業が「LINE」をビジネスに導入する際、裏側のシステム構築をソフトバンクが担っている。

  • 先日、米Alphabet Inc.の子会社であるLoon LLCが保有する成層圏通信プラットフォーム(HAPS)関連の特許をソフトバンクが取得すると発表されたが、どのような点を評価したのか。また今後の開発にどのように役立つのか。

    Loon LLCの持つノウハウは技術的に素晴らしい。例えば、世界中に常に約300個の気球を浮かべて通信を行うというサービスを、彼らはたった2人のオペレーションで実現していた。残りの部分は全てAIで自動化されており、彼らが自動化に関する高いノウハウを持っていることが分かった。また同社とは共同で無線機を開発、成層圏でLTEの電波を発射し、品質試験でも最高のクオリティーを出すことができた。技術者同士でも意見交換を行い、気球分野の技術についても知見を深めることができた。さらに、同社との協業における一番の財産は、7~8年間分の成層圏データの共有を受けられたことだ。

  • 世界的な半導体不足が5Gの基地局整備やビジネスに与える影響を教えてほしい。

    今年度の基地局建設について、クリティカルな影響はない。当社は半導体不足を見据え、関連部品の発注を前倒しすることで調整してきた。一方足元では、本来すぐ手に入るはずの細かな部品が手に入りづらくなっていたり、チップ関連の部品の入荷に少し時間がかかったりと、影響が少しずつ見えはじめている。このような状況が続いた場合、来年には基地局建設に何らかの影響が出始めるかもしれない。iPhoneの新機種については必要な分の在庫は確保できている一方、iPadに関しては必要な数量が入手できていない。

  • 資料11ページ「営業利益 四半期推移」で示された四半期ごとの利益の見通しについて、前年対比の視点で詳しく教えてほしい。

    昨年度の第4四半期は攻めの姿勢でコストを使った。それと比較すると今年度の第4四半期は少し抑え気味となるため、第4四半期だけで前年比500億円ほどの余力が出てくると思う。この余力を上手に配分して年間の設計をしている。第3四半期については昨年度から少しダウンするくらいだと読んでいる。そぎ落とすべきところはそぎ落とす一方、ネットワーク造りなどについては攻め手を緩めるつもりはない。

  • ソフトバンクの未来の姿について宮川社長の考えを聞かせてほしい。現在、通信キャリア各社は金融・決済や法人事業など同じような分野に注力しているが、ソフトバンクらしさをどう出していくのか。

    ソフトバンクは長らく通信業界で通信屋として生きてきたが、今後目指すのは総合デジタルプラットフォーマー。ただ通信をつなげるだけでなく、その上に乗るプラットフォーム、サービスを作る側に回っていくというのが、ソフトバンクの将来の形の一つ。そのために、「ヤフー」や「LINE」を顧客との接点としてもっと活用していきたい。また30年後、50年後の未来から逆算して、今やらなければいけない事業を組み立てようとしている。例えば、地球温暖化などの環境問題だ。電気通信事業者である当社は、日々大量の電力を消費しながらそれを通信サービスに変えて提供している。今後は電力の消費を抑える技術開発などに率先して取り組むことで、世の中に貢献していきたい。既存ビジネスの発展と未来からの逆算、両方の視点を組み合わせることでソフトバンクの未来の姿を示していきたい。

  • 今年に入り株価が20%以上上昇している。日経平均株価に比べてもパフォーマンスが良いが、IR活動にこれまでと何か違いがあるのか。

    株価が上がった要因は、これまでが安かったのではないかと分析している。IRについては求められている情報をできるだけ開示していこうと期初に決めた。今まで外部からは見えづらかったビジネスアセットの見える化に取り組んでおり、アセット同士のシナジーがどうなっているか、投資先の企業がその後どうなったかなど、投資家が追いかけられるようにしていきたいと考えている。

  • 宮川社長による株式の追加買い付けの可能性はあるか。

    現時点で追加の買い付けを行う予定はない。

  • ソフトバンクグループ(株)によるソフトバンク株式の追加の売出しは無いという認識は、現状も変わりないか。

    当社は答える立場にないが、ソフトバンクグループ(株)から追加の売出しの話題が出たことは一切ない。

  • PayPay(株)の黒字化の見通しは。

    数年以内には確実に黒字化できると思っている。決済手数料を有料化できた段階で、費用をコントロールすれば黒字化が可能というところの近くまで来ている。ただ「PayPay」はまだ攻めたい。もう少し拡大路線をとってから投資回収時期に入り、数年先の黒字化に向けて進みたいと考えている。

  • PayPay(株)の今後の収益モデルについて、決済手数料での収益拡大は難しくなってきている時代だと思うが、決済手数料以外で収益化を検討されているか教えてほしい。

    決済手数料はある程度メインにはなると思うが、例えば中国の「Alipay」では、後払いやローンなどのサービスが収益化の主力となっている。もちろん、加盟店向けサービス「PayPayマイストア」のように、店舗のデジタル化を切り口とするサービスからの利益も見込まれる。さまざまな収益モデルの組み合わせでやっていくと理解してほしい。

  • 現在、通信キャリア各社の解約率が軒並み上昇し、市場全体で流動性が高まっている。契約数の面では勝敗が決まりづらい状況にあるため、今後はARPUをいかに高めていけるかに焦点が当たると考えている。5Gの新プランなどによりARPUが上昇に転じるのはいつごろとみているか。

    契約数の純増にこだわるという当社の方向性に変わりはない。ユーザーを獲得できるように引き続き頑張っていく。正直なところ、一度下げた料金はなかなか上げづらいと思う。5Gが普及し、それを活用したリッチなコンテンツが増えてくれば、例えば“ワイモバイル”のユーザーが“ソフトバンク”ブランドへ移行するといった、より高い料金プランへのユーザーシフトが起こってくると思う。今年度中にはどの通信キャリアもSA方式の5Gネットワークコア設備が整うので、ネットワークスライシングなどを活用した新しいサービスが生まれてくる。2、3年単位で新しい料金体系が出てくると思うので、出遅れることなく業界をリードしていきたい。

  • OYO Japan(株)(以下「OYO」)およびWeWork Japan合同会社(以下「WeWork Japan」)の現在の状況は。

    WeWork Japanは順調。新型コロナウイルス感染症の拡大により、自社ビルを所有するよりもライトにオフィスを構えたいというニーズが増えている。先日、米WeWorkがSPAC(特別買収目的会社)を通じてニューヨーク証券取引所へ上場したが、当社が株式を保有するWeWork Japanも安定感がある。OYOも順調になりつつある。リストラについては、OYO、WeWork Japanともにやれるだけのことはすでにやっており、追加で何か手を打つ必要はないと考えている。