2021年3月期 第2四半期 投資家向け説明会
主な質疑応答

日時 2020年11月4日(水)午後6時~午後7時
登壇者 ソフトバンク株式会社 取締役 専務執行役員 兼 CFO 藤原 和彦
ソフトバンク株式会社 執行役員 財務経理本部 本部長 内藤 隆志
ソフトバンク株式会社 財務戦略本部 本部長 廣野 公一
  • 第2四半期に発生した半額サポートに係る契約負債の取り崩しは、下期に影響する可能性はあるか。

    今回行った契約負債の取り崩しは、過去分含めて全ての見積もりの修正を行ったもので、ワンタイムの処理であるため、下期に引きずるものではない。

  • モバイルのサービス原価が上期で減少しているが、下期もこのトレンドは継続するか。

    売上原価に関しては、2019年度の第1四半期に端末の引当金の戻しによる一時益があったため、本年の第1四半期にはそれが前年同期比の減益要因になった。下期にかけてはそのような特殊要因は想定していない。

  • セグメント別純利益について「その他関係会社」の利益はどこで出ているのか、またWeWorkは貢献しているか。

    まずSBペイメントサービス株式会社が好調で伸び続けている。さらにSBプレイヤーズ株式会社、SBテクノロジー株式会社など、伸びている子会社が多数ある。持分法適用会社であるWeWork Japanも同様にこの項目に含まれるが、当社の持ち分比率は1/4であるため純利益への影響は大きくはない。

  • 中期計画について、料金値下げ圧力など市場環境に変化はあったが、営業利益1兆円の目標に変わりはないか。

    中期の見通しに変わりはない。むしろ中期計画を策定した当初に想定していたよりも2020年度の進捗は良いといえる。不透明な状況だったが、コロナ禍でも法人事業を中心に十分やっていけるという確信が深まっている。今回の決算でも法人事業やヤフー事業は好調であり、コンシューマ事業も料金のプレッシャーはあるものの契約数が順調に増加しているので、中期計画の達成についてはむしろ強含みの状況と捉えている。

  • 料金プランについて、今回“ワイモバイル”は20GBの新プランを出したことで、大中小のプランが揃った一方、“ソフトバンク”ブランドは50GBの大容量プランと1GBで通話料コミコミの安いプランを用意している。残るは中容量プランだが、現在の従量制の「ミニフィットプラン」の容量を増やすことで大中小のプランが揃うのではないかと思う。“ソフトバンク”ブランドの今後の料金の方向性について教えてほしい。

    5Gプランを今後どう位置付けていくかを含めて、現在まさに社内で検討を進めている。もう少ししたら皆さまに発表できると思うので、お待ちいただきたい。いずれにしても“ソフトバンク”ブランドは、5Gを全面に出した形になると考えている。

  • 割引後ARPUの今後の見通しは。半額サポートの影響はARPUに含まれているのか。

    まず、半額サポートに係る契約負債の取り崩し影響はARPUに含まれていない。割引後ARPUが前年対比150円減少しているうち、100円以上が2019年10月から「1年おトク割」の会計処理を変更した影響。本年の10月で変更から1年が経過するため、第3四半期以降は「1年おトク割」による前年対比の減少幅は小さくなっていくとみている。

  • LINE株式会社とZホールディングス株式会社の経営統合に関する会計処理の考え方を教えてほしい。

    両社の統合完了は2021年3月を予定しているため、現時点では具体的には申し上げられない。一般的にはPPA(取得原価の配分)処理を行うが、驚くような業績影響にはならないと想定している。

  • 5Gプランの現時点の加入者数、および今後の見通しは。また5Gプランについて総務省などからの値下げ要求はあるか。

    5Gについてはスタートしたばかりで基地局数も少ないため、数値の開示については現時点では控えさせていただきたい。ただiPhoneも5G化しており、Android の5G端末も品ぞろえを強化した。ソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」)として、総販のかなりの部分が5G化していくとみている。5Gについては料金プランも含めて現在検討中であり、今後どこかのタイミングで5Gについてもう少し具体的にお話しできると考えている。

  • 5Gの通信網について、先ほどの決算発表で宮川副社長から2025年までに20万局、30年までにさらに15万局増やして、計35万局の5G基地局を整備するというご説明があった。この35万局のうち、4Gからの転用基地局はどれほどか。またKDDI株式会社(以下「KDDI」)との合弁会社5G JAPAN株式会社による共同基地局はどれほどか。

    35万の内訳には4Gからの転用基地局も含まれている。ただ、確かに最初はそのように4GLTE回線を活用したノン・スタンドアローン方式からスタートするが、5Gを日本にあまねく普及させていくためには、スタンドアローン化が必須であると考えている。5年後には5G基地局の多くがそのような5Gのスタンドアローン基地局になり、10年後はスタンドアローン基地局が圧倒的になると想定している。またKDDIとの合弁会社については、現在立ち上げ期で計画策定段階にあるため、具体的な数字をお示しする段階にはないが、期待をもって取り組んでいる。

  • 今後10年間で5G・6Gに2.2兆円を投資するということだが、設備投資のピーク時期はいつごろか。

    基本的には年4,000億円程度という目安を維持していく。その中で5Gにどのように割り当てていくかをしっかりと検討していきたい。

  • 法人向けソリューションビジネスについて、競合である株式会社NTTドコモ、KDDIも同様にデジタル化の追い風を受けているようだが、この分野におけるソフトバンクの強みは。

    当社の強みは、世界の有力なパートナー企業と連携し、顧客企業に対して最適なソリューションを提供できるところにある。もともとソフトウェアの流通ビジネスを行っていた時代から、さまざまなパートナー企業と協業を深めてきた。マイクロソフト社や、グーグル社、IBM社、ZOOM社など海外の有力企業との連携に加え、日本ではサイバーリーズン社との合弁会社でセキュリティ分野にも取り組んでいる。これにより、通信会社単独ではできないような、トータルなソリューションをご提案できることが選ばれる理由だと考えている。

  • 通期の業績見通しに対し、利益の進捗率が非常に高いが、これは想定以上にビジネスが好調であったということか、それともビジネス自体は想定通りで単に上期に予定していた費用が下期にずれこんだというようなことが要因か。

    まず今期の通期計画は、新型コロナウイルス流行当初の本年3、4月頃に策定しており、当時は外出自粛や企業の広告出稿の激減が見込まれる非常に不透明な状況にあった。その状況下でも増収・増益を達成するために、コスト削減策を含め、当時社内で真剣に検討して発表した計画ではあったが、実際は期初の想定ほどビジネスに影響は出ておらず、売上はむしろ伸びが加速しているようにも感じている。不確実要素はまだ残っているため年間の着地については引き続き慎重に検討しているが、下期についてもビジネス上の大きな懸念があるような状況ではない。費用については確かに上期にコストを抑制した部分があり、特に販売促進・マーケティング費などは下期にかけて徐々に戻していくつもりではあるが、業績に大きく影響するようなものではない。

  • 法人事業のモバイルの売上が第2四半期に加速しているが、一時的な要因か、それとも今後もさらなる成長が期待できるか。

    法人向けモバイル事業にしては好調を実感しており、今後の伸びが期待できるマーケットであると捉えている。日本の企業はまだ過半数がフィーチャーフォンを使用しており、企業のデジタル化の流れの中でスマホ化の需要拡大を見込んでいる。一方で利益面では法人向けモバイルはコンシューマ向けよりも単価が低いということもあり、単に企業にスマホ・タブレットを導入いただくだけではなく、それらのモバイルを起点としてその上にさまざまなサービスを乗せていくことで、法人事業のソリューション分野を伸ばしていくことが重要であると考えている。

  • 今回初めてコンシューマ事業のセグメント利益の内訳が開示された。特に「コンシューマサービス」の利益が大きいが、ブロードバンド、物販、でんき、付加サービスなどのうち利益貢献が大きいのはどのサービスか。

    付加サービスに含まれる保証サービスやセキュリティサービスが貢献している。一方で、でんきは利益率が低く、業績への貢献は大きくない。

  • 株主還元方針について、今年度から2022年度までの3年間の加重平均で、自社株買いを含めた総還元性向85%程度という目標を示しているが、本年8月に上限1,000億円の自社株買いの発表も行った。これは同月に行われたソフトバンクグループ株式会社による御社株式の売出しに対応する株式需給引き締めの措置だと思うが、この特殊要因による1,000億円の自社株買いは、総還元性向85%の計算に含まれるか、それとも外数か。

    必ずしも1,000億円全額が総還元性向の計算に含まれるとは考えていない。今回自社株買いにより取得した自己株式はストックオプション(新株予約権)の行使に備えるものであり、ストックオプションが行使されればその株式は市場に戻ることになる。大きく株主への還元と考えたときには、自社株買いの1,000億円から、ストックオプションにより行使された分の株式を控除して考えるべきだと思っている。