2020年3月期 第2四半期 投資家向け説明会
主な質疑応答

日時 2019年11月6日(水)午前11時~正午
登壇者 取締役 専務執行役員 兼 CFO 藤原 和彦、
執行役員 財務経理本部 本部長 内藤 隆志、
財務戦略本部 本部長 廣野 公一
  • 販促費について、端末売上から控除される分も含めて、上期全体の販促費の規模感を教えてほしい。また、モバイル通信サービス収入が大きく増収する中で、コンシューマ事業の第2四半期の営業利益は前年同期比で1.9%しか増えていないが、何が費用増加の要因か。

    上期における販売関連費の増加155億円の大半はコンシューマ事業にかかるもの。また、2018年度の第2四半期は費用を抑えていた。広告宣伝や店頭での販促も含めてアクティビティが全体的に増えた。

  • 5G設備投資について、2021~2022年中に全国カバーする計画とのことだが、設備投資の各年度の見通しは3,800億円と限られているなかでどうやっていくのか。

    各年度3,800億円の中で5G投資の比率は今後上がり、特に今年度下期から顕在化する。既存周波数帯の5Gへの利用が可能となったら、4Gから5Gへ切り替えるようなケースも想定している。新周波数の活用も含めて、全体として設計している。5G投資を考慮してもまだ過去投資分の減少が大きく、償却費は2021年以降減っていく見通し。

  • コンシューマ事業売上のうち、「おうちでんき」に係る売上はいくらか。また、将来的にどれくらい伸ばせるか、収益性についてはどう考えているか。

    物販等売上に含まれている「おうちでんき」に係る売上は、当上期において、前年対比で約200億円の増収要因。売上の絶対額としても300億円程度であり、まだ始めたばかりのビジネス。物販等売上全体は約100億円減少していることから、端末売上は約300億円以上減少している。店頭で「おうちでんき」をお勧めする機会も増えているのでしばらくは伸びると期待している。

  • 「その他」の事業においてサイバーリーズン・ジャパン株式会社に係る一時益を除くと増益とのことだったが、具体的にどのような会社や事業が伸びているのか。

    資料でご紹介したSBペイメント・サービス株式会社や、オッズ・パーク株式会社や株式会社さとふるなどSBプレイヤーズグループで営んでいる事業も堅調。SBテクノロジー株式会社やクラウドも増益に貢献。Q2で40億円程度の増益要素にはなっている。加えて、昨年「PayPay」が連結に入っていたが今年は入っていない影響もある。

  • 来期の増益要因を確認したい。来年割引ARPUの影響は。子会社や持分法適用会社の影響なども含めて来期の増益要因を教えてほしい。

    法人事業、ブロードバンドを伸ばしたい。個人のモバイルも相応に貢献はするため、減益になるとは考えていない。ヤフー事業の底打ち、ZOZOも入ってくるし、子会社も1社1社が過去最高増益を記録している会社も増えてきており、そういった会社が積もってくる。来年も増益を達成するため、今年度から仕込みをしている。モバイル通信収入の来期見通しについては、獲得は今年度ほど楽観視できないうえ、ARPUの伸びも低減していく。一方で、費用は販売手数料が減少する。

  • 自社株買いを行うときのトリガーはあるのか。またそのトリガーに対してどのような状況か。また、利益が上振れた場合の配当の方針について教えてほしい。

    自社株買いについて、ROEが高いこと、自己資本比率が低いこともあり、自社株買いを実施するのは例外的なオプション。今回の自社株買いはストック・オプションの権利行使に備えたもの。配当は安定性を重視して、利益の質(キャッシュを伴うか、継続性等)も考慮して検討する。85円の配当は確実に実施する。

  • 当上期は、端末を直接値引いて売上から控除する部分については、前年同期比で大きな変化はなく、販売手数料のほうを増やしたという理解でよいか。直接売上から控除すると当該期間に認識されるが、販売手数料は繰り延べるため、後年度負担が残ると思うが、どちらにするかの判断はどうしているか。

    その理解でよい。あまり変動はさせていない。

  • 「トクするサポート」は、他社と異なるオペレーションとなっており、“ソフトバンク”ユーザー以外にも提供することとなっており、これ以外にも販売奨励金2万円の値引きができる。この枠は積極的に活用していくのか。

    現時点で決まったことは何もないが、選択肢の一つではある。4年割賦にすることで、お客さまにとって高額端末が買いやすくなると考えている。また、早く機種変更をしたいお客さま向けには、お使いの端末を下取りしたうえで、プログラム料をいただいて早く機種変更にも応じる。お客さまからのクレームはほとんどなく、満足度も高いが、法改正と同期をとってやっていきたい。いろいろな施策を組み合わせて新しい競争施策を組み立てていきたい。

  • ARPUについて、割引前ARPUの減少は、ブランドミックスのみで説明できるのか。それぞれのブランドのARPUは伸びているのか。割引ARPUは、減少幅がピークということだが、第2四半期において総合ARPUが120円増加したものが、今後は鈍化していくという見方でよいのか。年度末ではブランド間で“ワイモバイル”ブランドから“ソフトバンク”ブランドへの移行が、逆向きの移行を上回ったとの話だったが、現状どうなのか。ミックスの変化が割引前ARPUにどのような影響を与えるのか。

    “ソフトバンク”および“ワイモバイル”ブランド自体のARPUはさほど変わっておらず、ブランドミックス影響が大きい。月月割は引き続き減少するが、減少幅は鈍化していく。ブランド移行については、春商戦は“ワイモバイル”ブランドから“ソフトバンク”ブランドへのアップグレードが多かったが、今は“ソフトバンク”から“ワイモバイル”への移行のほうが少し多い状況のため、今後の取り組みテーマとしたい。

  • 流通事業と法人事業のソリューション等売上は伸びが強いが、一部ハードウエアが含まれており消費増税前の駆け込みなど一過性のものがあるか。下期の見通しについても教えてほしい。

    WindowsのOS切り替えや消費増税前の駆け込みもある。流通事業は上期と同じにはいかないと思うが、前年対比での増益にはこだわって今後もやっていく。法人のソリューション等売上については、こうした売上が利益に与える影響はさほど大きくない。

  • “ソフトバンク”と“ワイモバイル”についてデュアルショップを展開していると思うが、将来に期待できる動きがあったら教えてほしい。また、効果やコストについて定量的に示せるものはあるか。

    “ソフトバンク”と“ワイモバイル”の間だけ見ているのはミスリーディングな部分もあると思う。“ソフトバンク”のお客さまが契約変更を検討するとき、グループ外のMVNOへ流出するのではなく“ワイモバイル”で食い止めている部分が相当ある。逆もまたしかりで、“ワイモバイル”から契約変更を検討する場合には、他のMNOも選択肢に入るが、“ソフトバンク”の選択率が高くなっているというのもある。ワイモバイルという会社自体が株式会社ウィルコムとイー・アクセス株式会社からスタートしたため、もともと店舗数は1,000店もなかったが、今はデュアルショップも含めると2,000店舗を超えており、お客さまへの選択の機会を増やせているし、同じロケーションであることが生産性向上にもつながっている。営業側含めてブランドマネジメントは丁寧に行っている。

  • 総合ARPUはブランドミックスで減っているとのことだが、おのおののブランドのARPUはステイとのことだったが、どのような構造でそうなるのか。

    いろいろな割引施策は入れている。“ソフトバンク”ブランドでは家族割引を入れているため、その分単価は下がっていくが、一方で50GBの「ウルトラギガモンスター+(プラス)」に移行する方も増えており、それはARPUにプラスとなる。また、解約される方の傾向としては、容量が小さい方が多いため、これらのバランスとなる。

  • 「PayPay」について、今期のガイダンスはどのように織り込んでいるか。そのうえで、非常に強いモメンタムがあると思うので、これからプロモーションと損益のバランスをどのように今後考えたらよいか。

    「PayPay」は伸び盛りのため、同じ施策をやっても規模が大きくなっているため支出は増える。今は伸ばす時期と考え、惜しまず取り組んでいく。ユーザー数の伸びに対して加入希望の店舗も増えているため、相応にコストをかけていく。ガイダンスとは両立していくつもりだが、現時点で具体的な数字のコメントは控える。昨年より100億円の単位で投資が増えるのは間違いない。

  • ヤフービジネス推進部ができたとのことだが、どのような時間軸でどのように業績に貢献があるのか。注力分野など。

    今期の影響は限定的だが、好事例は出ている。法人営業は大手企業とのコンタクトポイントも多いためトスアップしていく関係になる。ヤフー株式会社(以下「ヤフー」)が一緒になってより具体的な提案をしていく。来年以降プラスにできる取り組みが着実に進んでいる。

  • 10月以降の事業法改正後の動きについての総括を教えてほしい。純増は10月どうだったか。今後成長するにあたって利益加速要因か、減速要因か。

    9月駆け込みの影響が大きかった“ソフトバンク”ブランドを中心に、獲得も減り、解約も減った。ただ、獲得と解約両建てでの減少であるため、経営自体への影響はさほど大きくない。“ワイモバイル”ブランドは比較的影響は少ないものの、やはり全体のマーケットの影響を受けてはいる。もうちょっと活性化させたい。9月は消費税などの影響もあり特殊な月だったと思う。「PayPay」とかヤフーも強くなってきているため、差別化のあり方もさまざま検討していきたい。

  • 新領域のこの3カ月間の進捗や、持分法損益の中期的な見方やキャピタルゲインについて教えてほしい。

    キャッシュマネジメントは非常に重要。投資予算は年間500億であり、その規律のなかで優先順位をつけてやっていく。WeWork Japan合同会社も「PayPay」も、勝ち筋を見つけることができていると思う。WeWork Japan合同会社は日本では規律をもって展開できているし、「PayPay」も収益化のシナリオを描きながら展開している。DiDiモビリティジャパン株式会社とOYO Hotel Japan合同会社についてはこれからだと思っている。