株式会社 ベルーナ 「マルチクラウドでも複雑にならないネットワーク」とは? 株式会社 ベルーナ 「マルチクラウドでも複雑にならないネットワーク」とは?
株式会社 ベルーナ 「マルチクラウドでも複雑にならないネットワーク」とは?
株式会社ベルーナ

「マルチクラウドでも複雑にならないネットワーク」とは?

株式会社 ベルーナ

課題
クラウドのネットワーク接続

業界
小売

組織の規模
1,001~5,000人

複数のクラウドサービスやオンプレミスインフラにまたがるシステムを利用する場合に問題となるのが、それぞれのインフラ間のネットワーク接続だ。ネットワークの構成が複雑だと、システムの実行時に遅延が発生したり、管理の工数が増大したりする可能性がある。遅延がなく、管理しやすいシステムを作るために、ネットワークは重要な役割を担っている。

ファッション通販カタログ「ベルーナ」などの通販事業を手掛けるベルーナは、システムのクラウド移行を積極的に進めている。同社は複数のECサイトを運営しており、それぞれのECサイトに「Amazon Web Services」(AWS)などのクラウドサービスを活用している。

各ECサイト間を接続するためのネットワーク構築には、従来は1、2ヵ月の工期が必要で、迅速に新規システムを立ち上げることが困難になっていた。このような背景から、ベルーナはネットワーク構築の工期短縮とマルチクラウド化に向けたインフラ整備のために、ネットワーク構築の内製化に踏み切った。同社はマルチクラウドに適したネットワークインフラの整備を、どう実現したのか。

ベルーナは、1977年6月に友華堂として設立した通販会社だ。1986年8月に「ベルーナ」を創刊し、1990年4月に現在の社名に変更した。「お客さまの衣食住遊を豊かにする」という経営理念に基づき、アパレルや雑貨、化粧品健康食品の製造販売、グルメ・ワインの通販、看護師向け通販、データベース活用、呉服の販売、不動産の開発など、幅広い分野で事業を展開している。グループの全店舗数は305店舗(2022年9月)で通販会員数は約2330万人(2023年3月期)、国内外の18拠点でホテルを営業している。

ベルーナの寿美田 早衿氏(経営企画室 広報)は、「2021年までワイン通販の『My Wine Club』は国内通販売上高14年連続ナンバーワン※1、日本酒通販は6年連続ナンバーワン※2と、国内でも有数の売り上げを誇ります」と話す。ホテル事業も手掛けており、2023年4月に銀座7丁目(東京都)に「GINZA HOTEL by GRANBELL」を開業。2025年には札幌(北海道)にも新しいホテルをオープンする計画だ。

  • ※1期間は2008年度から2021年度までの14年。東京商工リサーチ「2021年度 国内ワイン通販市場シェアに関する調査」(調査期間:2021年4月~2022年3月)に基づく。
  • ※2期間は2016年度から2021年度までの6年。東京商工リサーチ「2021年度 国内日本酒通販市場シェアに関する調査」(調査期間:2021年4月~2022年3月)に基づく。

ベルーナにとって、情報システムは事業を支える重要な存在だ。同社は自社で運営するデータセンターのオンプレミスインフラで、ほとんどのシステムを運用していた。2018年ごろからは新規開発を中心に、AWSをはじめとしたクラウドサービスの活用に乗り出している。将来的には基幹システムのクラウド移行も視野に入れている。

ベルーナの鈴木光義氏(情報システム本部 IT 設計室 参事)は、「当社のクラウド移行は、ITリソースの調達と運用コストの削減や、システムの拡張性と可用性の確保、市場の状況に合わせた開発スピードの向上などを目的としています」と話す。

ベルーナがクラウド活用で直面した“ある問題”

新規開発するシステムに加え、ベルーナは専門ECサイトのフロント部分をAWSに構築している。専門ECサイトへのクラウド活用は、レディースファッション通販サイト「リュリュモール」のインフラをAWSのVPC(仮想プライベートクラウド)に構築することから始め、その他の7つの専門ECサイトのインフラも同様の手法でAWSに構築した。

ベルーナの従来のネットワークインフラは、データセンターで稼働する基幹システムと、あるIaaS(Infrastructure as a Service)で稼働する総合通販サイトをつなぎ、AWSで運用する専門ECサイトとIaaSを専用接続サービス「AWS Direct Connect」で接続する構成を採用していた。鈴木氏は次のように説明する。「オンプレミスの基幹システムとAWSで稼働する専門ECサイトの連携には、帯域幅(回線容量)を確保することとセキュリティ対策が必要だったため、AWS Direct Connectを採用しました」

ベルーナはVPCの構築と、VPCと総合通販サイトの接続は外部のベンダーに依頼し、ECサイトごとに更改作業を繰り返してきた。そのため一つ一つの専門ECサイトのVPC接続に時間がかかることが課題となっていた。

既存のSmartVPNの有効活用でOnePortによる効率化とコスト最小化を両立

ECサイトのクラウド移行を進めていたベルーナはその後、EC事業の強化を目的に、あるIaaSで稼働していた総合通販サイトをSaaS(Software as a Service)に移行することにした。このことから、IaaSに構築したインフラを廃止したことで、AWS DirectConnectの接続方法をはじめとしたネットワークインフラを見直す必要が生じた。

ネットワークインフラの刷新に当たり、既存の仕組みを維持することが要件となった。検討の結果、ベルーナはソフトバンクのクラウド接続サービス「OnePort マルチクラウドアクセス」(以下、OnePort)の採用を決定した。導入後は、基幹システムと総合通販サイト、個々の専門ECサイトがOnePortを中心に接続するシンプルな構成を実現している。

OnePortを採用した理由の一つとして、鈴木氏は専用線接続用のWAN(Wide Area Network)があらかじめ利用可能になっていたことを挙げる。「他社のサービスを採用する場合、まずWANの構築から始めることが必要で、そのためのコストと工数が掛かってしまいました。OnePortは、当社が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行時の在宅勤務で利用していたソフトバンクのVPNサービス『SmartVPN』と接続させることができたので、導入作業の効率化とコスト削減を両立できました」(鈴木氏)

事業の拡大に合わせたネットワークの拡張を実現する

ベルーナは事業の拡大に合わせて、将来的にVPCが増えることを見込んでいる。そのためのベンダーへの作業依頼が不要で、管理画面から1クリックでシステム間のネットワーク接続が可能になる仕組みにしたいと考えていた。「OnePortは1度導入してしまえば、後は簡単な操作で新しいシステムと接続できます。以前はVPCごとにオンプレミスシステムと直接接続させていましたが、この方法は外部のベンダーに依頼して1、2ヵ月の作業期間が必要でした。OnePortで内製化が可能になり、最短1日で接続が可能になりました」と話す。

今後ベルーナは、AWSだけではなく他ベンダーのクラウドサービスの利用も視野に入れている。そのためマルチクラウドの接続が可能であることも、OnePortを採用した決め手の一つとなった。「例えばセキュリティを確保しながらAI技術を活用したいときにMicrosoftのAIサービス『Azure OpenAI Service』を利用したり、ビッグデータ分析のためにGoogleのクラウドデータウェアハウスサービス『BigQuery』を利用したりする場合も、容易にOnePortから接続できます」と鈴木氏は話す。

事業の拡大で、ネットワーク帯域幅が不足することも考えられる。ベルーナはOnePortを200Mbpsの帯域幅で利用しているが、帯域幅が不足しても1クリックで1Gbpsまで拡張できるように契約している。そのため鈴木氏は、ネットワークインフラのことを気にせずに事業の拡大に集中できるようになることも、OnePortの利点として評価している。

迅速なシステムの更新を可能にするソフトバンクの支援体制

2023年2月に、ベルーナはOnePortの本番運用を開始した。本番運用開始時点でOnePort への接続システムは7個だったが、現状では10個に増えている。今後新しいシステムの接続も計画している。

クラウドサービスの導入や保守、活用を支援するソフトバンクの「MSPサービス」も、ベルーナは評価している。「OnePortの検討から導入、サポートまで、ソフトバンクの担当者には非常に手厚いサポートをしてもらえました。OnePortの導入だけではなく、既存のAWSインフラの改修など、当社の情報システム全体の構築・運用支援もしてもらえたため助かりました。現在は調査段階ですが、今後はMicrosoftの『Microsoft Azure』やGoogleの『Google Cloud』などのクラウドサービスの検証も進める計画なので、こうした新しい取り組みでもソフトバンクのサポート体制を期待しています」と鈴木氏は話す。

ベルーナは引き続き、通販事業のECサイトを強化する意向だ。特に若年層向けのブランドで、メディアタイアップなどの施策を進めていると、寿美田氏は説明する。インバウンド需要の回復に合わせて、ホテル事業にも力を入れるという。「当社は経営トップの意思決定が速く、新しいビジネスを市場投入するまでに、スピード感を持って取り組んでいます。進化の著しいEC市場の中で、経営計画と実際の施策とのギャップを解消することを目指しています。意思決定から実現までのスピード向上が期待できるOnePortの導入により、今後の事業拡大に対する可能性が広がったと思います」(寿美田氏)

広帯域回線のオンデマンドプロビジョニングを実現
「OnePort マルチクラウドアクセス」

AWS、Microsoft Azure、Google Cloud、ASPIREなど複数のクラウドに対応した閉域接続サービスです。クラウドごとの回線は不要、オンデマンドな帯域変更や接続先追加が可能になるため、柔軟なネットワークを構築することができます。

  • 掲載内容は2023年8月現在のものです。

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