プレスリリース 2021年
国際会議「SIGGRAPH Asia 2021」で論文が採択
～コンピューターグラフィックス上で魚のリアルな群行動シミュレーションや
機械学習による尾数のカウントに成功～
2021年12月14日
ソフトバンク株式会社
日本農産工業株式会社
ソフトバンク株式会社（以下「ソフトバンク」）と日本農産工業株式会社（以下「日本農産工業」）は、2021年12月14日から17日まで東京で開催されるコンピューターグラフィックスおよびインタラクティブ技術に関する国際会議「SIGGRAPH Asia 2021」で、ソフトバンクのコーポレートIT本部アドバンスドテクノロジー推進室、日本農産工業およびNeuralX, Inc.が共同で執筆した論文（以下「本論文」）が採択されましたのでお知らせします。本論文は、「SIGGRAPH Asia 2021」で研究成果として発表したものです。
これまで海中での画像解析では、大量のトレーニングデータの収集が困難なこともあり、認識の精度に課題がありました。本論文では、大量のトレーニングデータをコンピューターグラフィックス上で生成し、自動的にアノテーション（学習に必要な正確な情報）を付加する手法を提案しました。実際の海中での録画データに適用するためには、魚そのもののリアルな形状や魚の個体の動きに加え、群行動のシミュレーションが必要になります。このたび、魚のバイオロジーから好みの温度、照度、泳ぐ速度、衝突回避速度、ニューロサイエンス（神経科学）までをベースにした意思決定間隔を取り入れ、コンピューターグラフィックス上で魚のリアルな群行動シミュレーションを行うことに成功しました。これによって、あらゆる環境に適応可能なトレーニングモデルの自動生成が可能になり、学習済みモデルを実際の海中のいけすの魚の映像に適用した結果、人が網から揚げて1匹ずつカウントする手法と同等の尾数のカウントに成功しました。
今回の研究は、いけすなどの外部環境や天候、海流など、さまざまな環境にも適用でき、魚のモデルを変更することで、あらゆる魚種にも適用可能なアルゴリズムになっています。
本論文の研究は、今後スマート養殖において生産量（飼育尾数）の推定を行うことで、給餌などの効率化や経営の安定化への貢献が期待されます。
「SIGGRAPH Asia 2021」で採択された本論文の詳細は、下記の通りです。
タイトル
Foids: Bio-Inspired Fish Simulation for Generating Synthetic Datasets
（和訳）Foids：合成データ生成のための生態を考慮した魚のシミュレーション
概要
本論文では、長年の課題であった養殖におけるAI（人工知能）の適用を目的としたトレーニングデータセットを自動で生成するための魚の振る舞いのシミュレーション手法である「Foids」を提案する。IoTデバイスにとって海水は天敵で、長時間の撮影や地上で利用可能なLiDARセンサーを使うことができないだけではなく、獲得した映像データから、正確なアノテーションを人手でつけることができない。そこで、魚の振る舞いをリアルにシミュレーションし、自動で正確にアノテーション（図1）をつける手法を用いて、実際にディープラーニングの学習モデルに適用し（図2）、コンピューターグラフィックスで学習したネットワークに実データを用いて尾数のカウントを行った結果（図3）、人手によるカウント結果と比較しても97％の精度を出すことができた。
イメージ
図1 3Dコンピューターグラフィックスで自動生成したトレーニングデータ
図2 映像から魚の検知をするためのディープラーニング学習モデル
図3 「Foids」手法による実際の海中映像における尾数カウント
SIGGRAPH Asiaについて
SIGGRAPH（シーグラフ、Special Interest Group on Computer Graphics）とは、アメリカコンピューター学会におけるコンピューターグラフィックス（CG）を扱うSIG（分科会）であり、また同分科会が主催する国際会議・展覧会の一つである“International Conference and Exhibition on Computer Graphics and Interactive Techniques”の通称。2008年からは、冬にアジア地域においてSIGGRAPH Asiaが開催されている。
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