プレスリリース 2021年

農業AIブレーン「e-kakashi」を大幅にリニューアルして
機能拡充と低価格化を実現

~小規模農家を含む幅広い農業従事者への提供を目指して端末価格を約10万円に~

2021年10月4日
ソフトバンク株式会社

ソフトバンク株式会社(本社:東京都港区、代表取締役 社長執行役員 兼 CEO:宮川 潤一、以下「ソフトバンク」)は、農業AIブレーン「e-kakashi(イーカカシ)」の機能を大幅に拡充するとともに、端末を低価格化して2021年10月4日から提供を開始します。今回、東京エレクトロン デバイス株式会社(以下「TED」)製の最新の端末(ゲートウェイ)※1を採用したことなどにより、税抜き9万9,800円(税込み10万9,780円)という価格を実現しました。今回のリニューアルを通して、より多くの農業法人や農業指導者・研究者、食品・種苗・育種メーカー、メーカーの契約農家などの農業従事者への普及を図り、農業現場の課題解決を支援することを目指します。

新しい「e-kakashi」向け端末およびアプリ画面
新しい「e-kakashi」向け端末およびアプリ画面

2015年から提供している※2「e-kakashi」は、IoTセンサーを活用して田畑やビニールハウスなど屋内外のほ場から収集した環境データを、植物科学の知見を取り入れたAI(人工知能)で分析することで最適な栽培方法を提案し、農業従事者を支援するサービスです。
国内では少子高齢化や過疎化による農業現場での人材不足が深刻化しており、テクノロジーやデータを活用して、農作業の効率化や生産量・品質の向上、技術継承などを行うことへのニーズが高まっています。

新しい「e-kakashi」は、一般的な農業IoTソリューションと異なり、端末にソーラーパネルとニッケル水素電池を搭載し、外部電源への接続が不要な※3完全独立駆動式に刷新されています。これにより、利用者は電源の有無などに左右されず、自由な場所に端末を設置して、ほ場の環境データの収集ができます。
また、幅広い農業従事者のニーズに対応できるよう、最適な栽培方法の提案や環境データの分析、各種データ管理などを行う4種類のアプリを新たに提供します。利用者は、栽培ナビゲーションやほ場の環境データの分析結果をスマホやパソコンで簡単に確認でき、目標とする生産量の達成や品質の向上、農作業の効率化などデータに基づく専門性の高い栽培指導などに役立てることができます。

ソフトバンクは、「e-kakashi」の提供を通して、さまざまな自治体や農家、法人を引き続き支援していきます。また、海外では関連機関と連携し、持続可能な農業の実現に向けた研究や実証実験、社会実装を推進する取り組みなどを行っていきます。

新しい「e-kakashi」の特長

(1)低価格

TED製の端末を採用することで、従来は1台約75万円だった端末を、税抜き9万9,800円(税込み10万9,780円)で提供します。なお、農作物や栽培方法によっては、端末に加えて温湿度やCO2(二酸化炭素)濃度などを計測するセンサーの購入※4が必要です。また、「e-kakashi」の利用には、接続料およびクラウド利用料がかかります。

価格

端末代(1台) 税抜き9万9,800円(税込み10万9,780円)
接続料(端末1台当たり) 税抜き980円(税込み1,078円)/月※5
クラウド利用料(1契約当たり) 税抜き3,980円(税込み4,378円)/月
センサー代 センサーの種類によって料金が異なります。
(参考)温湿度センサー(簡易版):税抜き6,500円(税込み7,150円)

(2)完全独立駆動式(外部電源不要)

端末にソーラーパネルとニッケル水素電池を搭載し、外部電源への接続なしで完全に独立して駆動することができます。発電と充電を繰り返しながら稼働することができるため、電源確保の問題により従来は設置が困難であった露地栽培でも使用できます※6。また、従来の「e-kakashi」と同様、ソフトバンクのネットワークに対応した通信モジュールを搭載しているため、収集したデータを直接クラウドサービスに送信することができます。

(3)さまざまなニーズに対応する4種類のアプリ

農業IoTソリューションを初めて使う小規模農家から農業指導者などの専門家まで、それぞれのニーズに合った4種類のアプリを提供します。

  • 「e-kakashi Navi」(スマホアプリ/無料)
    • 「e-kakashi Navi」(スマホアプリ/無料)

      ほ場の環境データが閲覧できる他、収集した環境データを分析し、最適な栽培方法を提案するナビゲーションアプリです。栽培環境の変化をリアルタイムに検知して、病害虫の発生リスクや、収穫時期などを通知するため、人員や資材などの効率的なリソース配備にも役立ちます。

  • 「e-kakashi Analytics」(ウェブアプリ/税抜き月額1万円(税込み月額1万1,000円)/100フィールドまで)
    • 「e-kakashi Analytics」(ウェブアプリ/税抜き月額1万円(税込み月額1万1,000円)/100フィールドまで)

      ほ場の管理や栽培指導を行う農業指導者や研究者、食品・種苗・育種メーカーやその契約農家などに最適なアプリで、設置した複数の端末から収集した環境データや作業記録の一元管理・分析を可能にします。さまざまなデータを一覧表示できる他、利用者やほ場ごとの作業状況、異常値などを簡単に確認することができます。また、収集したデータを基に、高度な栽培分析などを簡単に行えます。

  • 「e-kakashi Note」(スマホアプリ/無料)
    • 「e-kakashi Note」(スマホアプリ/無料)

      灌水(かんすい)や施肥などの作業スケジュールを簡単に管理できるアプリです。あらかじめ計画した作業工程を登録することで、作業のリスト化や作業予定日の確認ができます。また、複数人で作業状況の共有ができるため、作業の漏れや重複を防ぐことができ、作業管理の効率化を支援します。また、茎数や葉数などの生育調査、発芽や開花などの生育ステージに関する記録を付けることも可能です。

  • 「e-kakashi Recipe Studio」(ウェブアプリ/無料)
    • 「e-kakashi Recipe Studio」(ウェブアプリ/無料)

      収集した環境データや作業記録を基に、独自の栽培方法を作成することができます。温度と湿度の組み合わせなど複雑な条件設定にも対応しており、「e-kakashi Navi」と連携させることで、栽培レシピに基づく高度なナビゲーションが可能です。また、各利用者や指導者が持つ栽培ノウハウを電子マニュアル化できるため、栽培技術の継承にも役立ちます。

(4)幅広い農作物に対応できる複数のセンサー接続

これまで提供していた温湿度や日射量、CO2濃度、土壌温度、土壌体積含水率、土壌EC(電気伝導度)などが計測できるセンサーに加え、今回新たに温湿度センサー(ラジエーションシールド付き)と水深センサーを追加しました。センサーが増えたことにより、幅広い農作物の栽培に活用できます。センサーは、端末1台に最大4個まで接続可能です。

「e-kakashi」に関するお客さまからの問い合わせ先

お客さまサポートセンター
[注]
  1. ※1
    端末の詳細は、TEDが2021年10月4日付で発表したプレスリリース「ソフトバンク株式会社の農業AIブレーン「e-kakashi」のゲートウェイに独立駆動で見える化を実現した環境センシングソリューションが選定」をご覧ください。
  2. ※2
    2015年当時のサービス提供会社は、ソフトバンクの子会社のPSソリューションズ株式会社です。2019年にソフトバンクへ「e-kakashi」事業を移管しました。
  3. ※3
    利用するセンサーの種類に応じて、外部電源への接続が必要になる場合があります。
  4. ※4
    一部のセンサーはACアダプターの購入が必要です。
  5. ※5
    農閑期を最長4カ月まで設定することができ、その期間の接続料は不要です。(農閑期はデータ収集を行いません)
  6. ※6
    ソフトバンクの通信モジュールを搭載しているため、ソフトバンクのサービスエリア内でのみ通信が可能です。通信モジュールの通信料は不要です。
  • SoftBankおよびソフトバンクの名称、ロゴは、日本国およびその他の国におけるソフトバンクグループ株式会社の登録商標または商標です。
  • e-kakashiは、ソフトバンク株式会社の登録商標です。
  • その他、このプレスリリースに記載されている会社名および製品・サービス名は、各社の登録商標または商標です。