プレスリリース 2020年

産総研との次世代型電池の開発に向けた共同研究について

2020年3月24日
ソフトバンク株式会社

ソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」)は、国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下「産総研」)と、IoTデバイスや携帯電話基地局などでの活用を想定した、質量エネルギー密度(Wh/kg)が高く、かつ軽くて容量が大きい次世代型電池の開発に向けた共同研究を行う旨の契約を、2020年2月28日に締結しました。両者は、2019年3月から共同で研究や情報収集を行ってきており、今回それをさらに推し進めることになりました。

産総研は、「有機分子を用いた正極活物質」に関する2016年の研究において、資源問題につながる恐れのあるレアメタルを含まない、炭素や水素、窒素などの元素で構成された有機正極について発表しています。この有機正極は、高い容量を持つ電池材料となることが分かっており、コインセル※1における正極活物質当たりの容量で約430mAh/gを記録しています。質量エネルギー密度に換算すると、現行のリチウムイオン電池に使われる正極材料の2倍に相当する高い数値です。この材料を組み込んだ電池構成で試算したところ、質量エネルギー密度が400Wh/kg以上の電池が製作可能であることが示されました。

ソフトバンクと産総研は、有機正極を活用したこれまでの共同研究で、ラミネートセル※2における正極活物質当たりの容量約418mAh/g(質量エネルギー密度換算:約200Wh/kg)を記録しています。今後ソフトバンクと産総研は、電池の軽量化を目指して、導電助剤や結着剤、電解液をさらに低減させた状態での二次電池としての動作検証を実施する他、正極活物質当たりの容量約800mAh/g(質量エネルギー密度換算:約600Wh/kg)以上を目指して研究を推進します。その他、安全性や安定性の高い固体電解質の使用も検討していきます。

次世代型電池は、ソフトバンクの子会社であるHAPSモバイル株式会社が事業展開を推進する、上空から通信ネットワークを提供するシステム「HAPS」(High Altitude Platform Station)での活用も視野に入っています。

共同研究内容の詳細は、産総研のホームページをご覧ください。

[注]
  1. ※1
    電池材料の基礎物性を評価する際に用いられることが多い小型電池の形態で、実用レベルの電池と比較して、導電助剤や電解液を多く含む。そのため正極活物質の量が相対的に少なくなり、電池全体の質量当たりの容量は低い。
  2. ※2
    外装にラミネートフィルムを用いた形態の電池で、モバイル機器によく用いられる。コインセルと比較して、導電助剤や電解液量が少なく、実用レベルに近い。
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