プレスリリース 2017年

スマートフォンアプリを活用した
全国横断的な認知症高齢者見守り支援サービスについて~2017年度厚生労働省認知症総合戦略推進事業「認知症総合戦略加速化推進事業」※1
を推進し、自治体を越えた全国横断的な見守り支援サービスを実現~

2017年7月13日
ソフトバンク株式会社

ソフトバンク株式会社は、厚生労働省が取り組んでいる広域での認知症高齢者等見守り事業に協力するにあたり、全国キャラバン・メイト連絡協議会※2と連携して、スマートフォンを活用した全国横断的な認知症高齢者の見守り支援サービス(以下「本サービス」)※3に取り組みます。

高齢化社会が一層加速する中、認知症もしくはそれが疑われる方の行方不明者数は全国で年間約1万5千人余りにのぼっており、特に他の自治体などへの長距離に及ぶ徘徊は、家族や各地域・自治体の見守り範囲をはるかに超えています。また、高齢者を地域で支える担い手は減少していくことから、各自治体においては認知症高齢者の見守り支援施策の充実を図り、これらの課題を解決するためのシステムの導入などが喫緊の課題になっています。さらに、現在の高齢者を見守る徘徊SOSネットワークなどの取り組みは自治体ごとの別々の組織であるため、今後は自治体を越えた広域連携での見守り支援活動のネットワーク化が重要になっています。

ソフトバンクと累計900万人以上の「認知症サポーター」を養成した実績のある全国キャラバン・メイト連絡協議会は、有識者、介護団体、企業などによるオレンジセーフティネット構築委員会とその下部組織となる自治体によるワーキンググループを作りさまざまな検討を重ねる中で、スマートフォンを活用する新しい認知症高齢者見守り支援サービスの開発に取り組んできました。

今後ソフトバンクは厚生労働省が取り組んでいる広域での認知症高齢者等見守り事業の推進において、独自に開発したスマートフォン専用アプリケーション「オレンジセーフティネット」(以下「OSN」)を提供することで、全国の認知症サポーターの活動を支援していきます。

今回の取り組みにあたり、関係者の皆さまから次のコメントをいただいています。
オレンジセーフティネット構築委員会 委員長 大森 彌さま(東京大学名誉教授)
「構築委員会・ワーキンググループでは、OSNをどこが主体となって進めるか、協力者の範囲や登録のあり方といった細かな議論から、ツールとしての実効性の検証や利便性を高めるための社会実験(トライアル)などを積み重ねてまいりました。このアプリケーションがあれば、日本のどこにいても他県や他市町村でも捜索依頼情報を瞬時に確認することができます。自分以外の協力者がいまどこを捜しているかも地図上に示されるので一目瞭然です。個人情報にも充分配慮した設計となっています。ぜひ多くの自治体などがOSNの趣旨に賛同し、取り組まれることを希望いたします」

オレンジセーフティネット構築委員会 副委員長 山崎 史郎さま(前内閣官房地方創生総括官)
「最近、認知症の方々の行方が分からなくなるケースが増えています。ご本人はもちろんのこと、ご家族など関係者のご心配には大変なものがあると思います。今回の認知症高齢者見守り支援サービスは、『認知症サポーター』を養成した実績のある全国キャラバン・メイト連絡協議会とソフトバンクが、社会貢献活動の一環として提供するものです。地方自治体をはじめ関係者が幅広く活用され、認知症の方々の保護に貢献することを願っています」

全国キャラバン・メイト連絡協議会事務局長、特定非営利活動法人 地域ケア政策ネットワーク事務局長 菅原 弘子さま
「自治体を越えた広域で認知症の人を見守る仕組み作りが急務である中、それを実現する目的で弊団体とソフトバンクは『オレンジセーフティネット構築委員会』を共同で立ち上げ、全国横断的に網羅できる徘徊見守りサービスの実現に向けてさまざまな協議を重ねてきました。このOSNは構築委員会において検討された仕組みを元に、認知症の人とその家族が安心して暮らせる町づくりに貢献できると確信しています。私たちはこれからも認知症による行方不明者を一人も出さない世の中を目指し活動してまいります」

本サービスの概要

認知症サポーターなど、認知症高齢者等見守り・徘徊SOSネットワーク事業の協力者のスマートフォンにOSNをインストールしていただき、OSNの機能を活用することで認知症高齢者の方の見守りを支援するサービスです。

1. OSNの特長

  • (1)
    自治体を越えた広域連携での見守りを実現

    行方不明者を捜すための情報は、事前の設定により一定範囲内にいる協力者に対して通知されます。また、長時間にわたって発見されない場合は距離設定の機能により範囲を広げて他自治体にいる協力者にも通知が可能となり、厚生労働省が推進している圏域を越えた広域の見守りネットワークの構築強化に繋がります。

  • (2)
    位置情報やチャット機能を活用した効果的な情報共有が可能

    OSNに搭載されたチャット機能を使ったグループトークにより協力者間で情報共有ができます。また、地図上で自分以外の協力者の位置や対象者が目撃された位置を確認したり、対象者と思われる方を撮影した画像の共有など、さまざまな機能を使うことで効率的に対象者への声がけや確認活動ができます。

  • (3)
    個人情報の保護に配慮した高セキュリティーレベルで開発

    OSNは、セキュリティー性の高いアプリケーション開発プラットフォームを活用し、個人情報の取り扱いに配慮した運用スキームを盛り込んで開発されました。行方不明となった方の顔写真や身体的な特徴、服装などを登録した情報※4は、対象者を捜すことに賛同した協力者だけが閲覧可能です。また、対象者が見つかった後、登録情報は直ちに発信者からの操作で協力者のアプリケーションから削除されるので、端末に個人の情報が残らず安心です。

2. 動作環境

iPhone 5S以降、iOS 8.0以降
Android™ OS 4.0以降

[注]
  • アプリケーションの利用には、事前に自治体への登録が必要です。

3. OSNの画面イメージ

OSNの画面イメージ

OSNの画面イメージ

4. 本サービスが実現する自治体の粋を越えた広域での見守り活動

本サービスが実現する自治体の粋を越えた広域での見守り活動

ソフトバンクは、2017年4月から6月に協力自治体と地方公共団体でOSNを使った広域での見守り声かけ訓練を実施し、参加者の90%からOSNを使ったサービスが広域での見守りに有効だとの回答を得ました。

OSNを使った認知症見守りサービストライアルを実施した自治体

2017年4月26日 愛知県春日井市、岐阜県多治見市
2017年5月24日 北海道釧路市、釧路町
2017年5月29日 熊本県山鹿市、菊池市
2017年6月19日 静岡県島田市

なお、2017年8月に全国キャラバン・メイト連絡協議会主催で「オレンジセーフティネット都道府県・市区町村説明会」が開催され、ソフトバンクもOSNの開発者として参加します。説明会の詳細はこちらをご参照ください。

本サービスに関する問い合わせ窓口

ソフトバンク株式会社
ICTイノベーション本部
ICTイノベーション推進室

認知症に対する正しい知識と理解を持ち、地域で認知症の人やその家族に対してできる範囲で手助けする「認知症サポーター」の養成講座を運営する全国キャラバン・メイト連絡協議会についてはこちらをご参照ください。

[注]
  • ※1
    厚生労働省が推進する認知症施策等総合支援事業のうちの認知症総合戦略加速化推進事業。
  • ※2
    認知症サポーターを養成する「認知症サポーター養成講座」を開催する、厚生労働省の外郭団体。(http://www.caravanmate.com/
  • ※3
    OSNは2017年度の厚生労働省の認知症総合戦略加速化推進事業に合わせたβ版として提供し、2018年度以降、正式サービスとして提供する予定です。
  • ※4
    事前に本人もしくは家族の同意を得たうえで登録いただきます。自治体が認知症または認知症の恐れのある人の情報と認知症捜索の協力者の情報をあらかじめ入手管理し、行方不明となった場合にはじめてその情報は利用されます。
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  • SoftBankおよびソフトバンクの名称、ロゴは、日本国およびその他の国におけるソフトバンクグループ株式会社の登録商標または商標です。
  • その他、本プレスリリースに記載されている会社名および商品・サービス名は各社の登録商標または商標です。
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