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交通・人流データに基づいた信号機制御で渋滞解消。AIで個人認証し、ウォークスルーで買い物できる無人店舗。IoTセンサで取得したビッグデータを活用し最適化された都市。そんなよく語られる未来の街を実現するにあたり、鍵となるのが“リアルタイム性”だ。
データに基づき信号機を制御するにしても、従来の意志決定プロセスのように、センサから収集したデータを資料にまとめ、どのように信号機を制御するか会議で検討していたのでは、渋滞は緩和するどころか増すばかりだ。
私たちの思い描く「ビッグデータにより最適化された都市」を実現するには、個別のIoTセンサやAIによる処理能力はもちろんのこと、あらゆるデータ・システムを連携させ、リアルタイムで処理できるデータプラットフォームの存在が不可欠だ。
竹芝地区のスマートシティ構想およびソフトバンク新本社ビル「東京ポートシティ竹芝」において、その重要な役割を果たすのが「VANTIQ」だ。さまざまな事例から、これからの社会で「VANTIQ」がどのような役割を果たしていくことになるのか、紐解いていく。
すでに私たちの身近にはさまざまなIoTソリューションが存在する。1棟のビルの中にも、スマートロック、駐車場、会議室やトイレの利用状況が分かるセンサなど、多岐にわたるサービスが導入されている。
しかし、これらはそれぞれが個別のシステムであり、全体最適化を図るために統合的に管理するには至っていないのが実情だ。
各データ処理機能がそれぞれのアプリケーションやプラットフォームに分散している状況。それでは、用途、時期、規模、利用者、運用管理者によって常に「変化」するサービサーやユーザの要望に、応えていくことはできない。
分散した膨大なデータを可変的かつ複合的に処理できるプラットフォーム。そしてサービサーが“今”必要としているデータを処理できるプラットフォーム。それがこれからの「IoTにより全体最適化された社会」では求められている。
2015年9月に米国・カリフォルニア州で創業したVANTIQ, Inc.は次世代アプリケーション開発・実行プラットフォームの開発に着手し「VANTIQ」をリリース。「VANTIQ」は、世の中に存在する膨大なデータから、必要なデータのみを関連付け、リアルタイムに処理・判断をできる複合イベント処理プラットフォームだ。
データの形式が異なっていても、ストリーミングデータの流れの中でリアルタイムに全てのデータ・システムを連携・処理が可能。また、ノンプログラミング開発環境が準備されているため、データの追加や関連付けなどのルール設定もドラッグ&ドロップで簡単に実現できる。
通常のデータ利活用が、「データ収集→蓄積→分析→事後判断」というフローになるのに対して、リアルタイム性の高い判断が可能な「VANTIQ」では「データ収集→“事前判断”→蓄積→分析→事後判断」というフローになる。
通常のフローでは対処が後手に回ってしまうところを、データ収集時にすぐ対処することができ、事前と事後両方での判断を可能にするのだ。
ビルや工場、街などの単位で、複数データを連携させたトータルソリューションが求められるシーンにおいて、統合的にストリームデータ処理を行う「VANTIQ」の需要は、今後増々高まっていくことが想定される。
そして、2019年7月、ソフトバンクはVANTIQ, Inc.との戦略的提携を発表。スマートシティ・スマートビルディング領域で不可欠な「VANTIQ」のテクノロジーをオプションに加えることで、同領域でのDXを加速させることが狙いだ。
ソフトバンクは、竹芝地区のスマートシティ構想において、「VANTIQ」と連携したIoTプラットフォームを提供予定だという。その第一歩として、ソフトバンク新本社ビル「東京ポートシティ竹芝」において同IoTプラットフォームを活用したビルディングソリューションが導入されている。
ビルを丸ごとスマート化すべく、「東京ポートシティ竹芝」には約1,000個以上の最先端センサが導入され、データを取得。以下のようなデータ利活用が実際に行われている。
ビル内のオフィスワーカーは、社内ポータルからいつでもビル内の施設利用状況を知ることができる。施設内の混雑状況、トイレの利用状況、飲食店の混雑状況、周辺の天気など、ひと目で必要な情報を把握でき、最適な行動を選択することができる。また、時間帯や店舗の利用状況に応じてクーポンを表示するなど、利用促進のための働きかけをリアルタイムに実行することもできる。
ビル内のテナントに向けて、フロアごとの集客数や増減などの情報、そしてテナントごとの来店情報を分析するためのツールを提供。テナントはデータに基づき、効果的に集客するためのマーケティング活動を実行できるようになる。
カメラの映像を解析し、各フロアで起こったインシデントをひと目で確認できる仕組みを導入。また、自動でフロア内の警備員の位置情報を判別し、一番近い警備員に通知も行う。起こったインシデントに対してより迅速に対応することが可能になる。
今後、本取り組みは竹芝街区、再開発エリアどうしの連携、さらに広域エリアへと拡張していく予定だという。竹芝地区のスマートシティ化構想は「VANTIQ」のリアルタイムデータ処理基盤が評価され、東京版Society5.0の実現に向けた「スマート東京」にも採択されている。
「VANTIQ」の利用シーンは、スマートシティやスマートビルディングに限らない。製造、小売など、あらゆる現場で複数のデータ・システムを連携・リアルタイム処理することで、プロセスの最適化が期待できる。
ブローダービズ社の提供するAI画像解析による労働環境見守りシステムを、日本の和菓子工場へ導入。それに際して「VANTIQ」のプラットフォームを活用した。
監視カメラから取得した映像を複数のAIアルゴリズムで処理し、さらにその処理結果を「VANTIQ」でストリームイベント処理し、異常を検出。映像を目視でチェックするよりも高い精度で、従業員の転倒や異常行動の監視とリアルタイムのアクション通知の仕組みを実装した。
Cust2Mate社のスマートショッピングカート導入において「VANTIQ」を活用。
イスラエルの大規模ショッピングセンターにおいて、スマートなショッピング体験を実現する仕組みを実装した。スーパーに到着するとショッピングカートにクレジットカード情報を登録し、カートに入れた品物をAIカメラと重量センサで特定。買い物を終えると出口ゲートで自動決済される。
センサ、バーコードリーダー、AIカメラ、クレジットカード認証、個人認証など、複数のシステムをつなぎ、協調動作させる仕組みを「VANTIQ」により実現した。
「VANTIQ」のプラットフォームを活用し、フランスのガス工場にTOTAL社が提供するリアルタイム危機管理システムを導入。
ガスセンサ、音声センサ、超音波センサなど、複数のセンサ情報からリアルタイムにガス漏れなどのインシデントを検知し、当該エリアにいる作業員へ避難指示および管理者へ原因解決に対する指示を通知する仕組みを実装した。
さまざまなセンサからのデータ入力としきい値異常の判定、従業員への指示をリアルタイムで実現。
Society 5.0で実現する社会は、「IoTで全ての人とモノがつながり、さまざまな知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出す」と定義されている。
防災、交通、商業などさまざまな分野において創出されるデータを、必要なタイミング、最適なカタチで利用できる社会。これまで個別に動作していたシステムが連携することで、究極的には人やモノの状況やニーズにあわせ、その時々で都市や社会自体が形を変えていくことも可能だ。
システムやデータの「孤立」をなくしていくことは、これまで社会が応えきれなかった個人の多様なニーズ、社会課題に対応し、さまざまな人の「孤立」を救うことにもつながっていくだろう。
「VANTIQ」の存在が、そんな全ての人にとって豊かな未来の礎になることを期待したい。
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