~AIソリューションカンパニーFindability Sciences 創業者が語る~ 海外と日本におけるDX・AIへの考え方の違い

2021年8月24日掲載

「AI」「DX」など、日本ではデジタルへの関心が高まっています。しかし、総務省の令和三年版「情報通信白書」の序章に「我が国がデジタル化で後れを取った」と表記されているように、日本の取り組みは世界と同じ水準に達しているとは言えません。
今回のブログでは、アメリカのAIソリューションカンパニーFindability Sciences Inc.のCEOであるAnand Mahurkar氏と、以前のブログにも登場いただいたFindability Sciences株式会社のCEOである中林真人氏に、海外におけるAIの考え方についてお話を伺いました。

目次

お話を伺った方

Anand Mahurkar(アナンド マフルカル) 氏

Findability Sciences Inc. CEO

Datamatics Global Services代表等の要職を経て、Findability Sciences Inc.を創業。テクノロジー領域で25年以上の経験を有するAIイノベーター

中林 真人 氏

Findability Sciences株式会社 CEO

ソフトバンク グローバル営業本部 法人国際営業部長を経て2020年9月よりFindability Sciences 株式会社に着任

会社概要

Findability Sciences Inc.は、アメリカに本社を、インドにオペレーション・センターを構え、ビッグデータ、コグニティブ・コンピューティング、AIによる予測分析プラットフォーム(Findability Platform®)を提供するトータルAIソリューションカンパニー。2010年より米国、欧州、インド、日本においてサービスを提供している。
Findability Sciences株式会社は、ソフトバンク株式会社とFindability Sciences Inc. で設立した合弁会社。

DXやAIは、もはや生存のために必要なこと

世界的にも2020年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大は大きなインパクトがありました。

「2019年まで、ほとんどの企業はAIを中期的あるいは長期的な戦略として考えていました。AIは必要だが、今ではないと考え、予算がない、スキルがない、適切なユースケースがない、AIを活用するのに適した企業ではないなど、さまざまな言い訳をしていました。
私は、世界がCOVID-19という新しいデジタル推進者を得たと考えています。
COVID-19が登場すると、小さなレストランのような企業から超大企業まで、あらゆるビジネスに非常に速いスピードでDX(Digital Transformation)をもたらしました。全てのビジネスリーダーは自分たちのビジネスをデジタルテクノロジーを使ってどのように変革していくかを考えるようになったのです。

例えば、銀座やニューヨーク、ボストンにある小さなレストランを例に挙げてみましょう。
彼らは、人との接触を減らすために対面でのオーダーをやめて、電子メニュー導入によるイノベーションを起こさなければなりませんでした。もし、2019年にそれらのレストランに行って電子メニューを導入する必要があると言っても、多くの人々は『この先やるかもしれませんが今は必要ない』と言ったでしょう。

2021年のあらゆる企業にとって、DXやAI、データテクノロジーは、もはや成長のための選択肢(Option)ではなく、生存のためにやらなくてはいけないこと(Must do)なのです」(アナンド氏)

マインドセットの変更は一晩で

そこまでの大きな変化はどの程度のスピードで行われたのでしょうか?

「本当に面白いことに変化は一晩で起こりました。
みなさんも経験したように、全ての国の全てのビジネスが突然停止したのです。
アメリカでもロックダウンが始まり、全てのビジネスリーダーが家に閉じこもって解決策を考え、その翌日からリーダーが違う考え方をするようになりました。

例えば、私たちの業界であるテクノロジーやソフトウェア開発を例に挙げてみましょう。
以前は、開発者がそれぞれオフィスから遠く離れた地域、州で働くことを想像できても、完全に実践するまでには至っておりませんでした。もし私たちがこの変化を求めていたとしたら、実現するには5~10年が必要だったでしょう」(アナンド氏)

企業におけるこれまでとこれからの変化

COVID-19がもたらす変化に対応した企業とそうでない企業とでは、どのような差が生まれるのでしょうか?

「現在、企業には2つのタイプがあります。
1つは従来のビジネスでDXを行おうとしている企業。もう1つは私が『ボーン・デジタル』と呼ぶ、生まれながらのデジタルな企業です。

生まれながらのデジタルというのは、アメリカのDoorDashやUber、Netflixなど、創業からデータをビジネスの原動力にしている企業のことを指します。彼らはデジタルネイティブな企業ゆえ目指すべき姿をすでに実現しているので、DXをしろと言っても無理なのです。
AirbnbやDoorDashをはじめとするボーン・デジタル企業が爆発的に増え、テック・アマチュア(魅力的なスタートアップ企業)の数も増えました。
問題は、従来のビジネスでDXを行う必要がある伝統的なブリック&モルタル(従来型)の企業です。彼らは計画を立て、検証やデモンストレーションをしていましたが、小さなプロジェクトをいくつか行い、これではうまくいかない、十分なROI(Return On Investment)が得られないと早々に判断してしまっていたのです。

COVID-19によって、ボーン・デジタル企業とブリック&モルタル企業のデジタルにおける格差は大きくなっていますが、これからブリック&モルタル企業もAIテクノロジーを迅速に採用し、非常に興味深い変化が起こるでしょう。また今後数年、AIを導入することのROIが何なのか、企業はより深く考えるようになるでしょう」(アナンド氏)

日本企業に足りていない能力と戦略の視点

「日本の企業は、ほとんどのAIテクノロジーに対して、収益増加やコスト削減といった財務的ROI(Financial ROI)だけを見ています。
しかし私は、別のROIが重要だと考えています。それは能力的ROI(Capability ROI)と戦略的ROI(Strategic ROI)です。この2つは、企業の生き残りに必要な新次元の指標となっていきます。

日本では、ほとんどの企業がDXやAIのプロジェクトに対応するリソースを社内に持っていいません。
能力的ROIとは、企業がAI技術に取り組むことで、その副産物として自社内にデジタル・デザイン能力が獲得できることを指します。ベンダやパートナーと手を組むとき、単にお金を節約したり多くのお金を稼いだりするだけでなく、組織内にその能力を構築していることになるのです。それが、デジタル・ケイパビリティの獲得に対するROI、すなわち能力的ROIということです。
戦略的ROIとは、AIとデータテクノロジーの活用を前提とした、すなわちデータドリブン型の経営に向けた事業戦略を獲得できるということです。例えば、サプライチェーンを自動化するとか、自動化によって顧客サービスを行うとか、企業ごとに実現したい事業の戦略はさまざまです。ただAIを導入すればいいということではなく、企業の事業戦略を向上させることができるかどうかを考えることが必要です」(アナンド氏)

多くの日本企業はAIをサポートツールとして考えている

日本のAIに対する認識について、海外との差を中林氏とアナンド氏は語ってくれました。

「日本では、テレビのニュースや新聞でもDXというキーワードを毎日のように耳にします。多くの日本企業はまだAIのことを現在のビジネスのサポートツールとして考えていますが、AIを活用していくためにはカルチャーやマインドセットを変えて『現在のビジネスを助ける技術』ではなく、『新しいビジネスモデルや新しい価値を生み出す技術』としてとらえる必要があります。新しい技術が新しいビジネスを作り、それがデジタルによるビジネスの変革、すなわちDXの実現となります。
日本企業の多くは、この考え方を採用していないか、理解が広まっておりません」(中林氏)

「DXは『デジタル』と『トランスフォーメーション』です。日本の経営者はトランスフォーメーションを忘れがちで、デジタルだけに集中しています。デジタルで単にコストを下げるという取り組みは、トランスフォーメーションではなく、デジタルエンジニアリングです。エンジニアリングとは本来、何かの効率化が目的であるため、財務的なROIを出すことができます。
しかし、トランスフォーメーションは『完全な変化』です。単なる財務的なアウトプットではなく、能力と戦略の変革が必要なのです」(アナンド氏)

アメリカの成功事例の詳細はダウンロード資料で

日本企業がAIを活用するために必要なことや海外での事例についても、アナンド氏と中林氏に詳しく伺いました。
詳細はダウンロード資料でご覧ください。

~AIソリューションカンパニー
Findability Sciences 創業者が語る~
AIに対する日本企業の課題と海外のDX事例

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